わたしの初恋。
なんて、贅沢な片思いだったんだろう。
一番大好きな人の、あんなに近くにいられて、毎日、話をしたり視線を交わしたり、悩みを打ち明けたり、頭を撫でてもらったり。
何度も何度も、好きですと伝えられた。
あんな幸福な片思いなんてない!
文芸部部長である心葉に惹かれ、彼に近づくために文学少女になろうとがんばる文学初心者・日坂菜乃が、恋と謎に挑むお話の第三弾。今回は、菜乃の親友である瞳が突如心葉と付き合いだしたと言い出して……というお話。
瞳が何を考えているのかがずっと分からないまま話が続き、訳を知ってる心葉はなんで何にも言わないのかなと思いながら読み進めていましたが、すれ違いから、生まれた恋がこういう形で終わっていたとしたら……嫉妬が悪意を呼び、絶たれた命が罪悪感を生むという悲劇がやるせない。
たぶん心葉だけだったら、うまく解決できなかったんじゃないかな。自分を責めずにいられなかったふたりを前にして、ただひたすら追いかけて、真正面からぶつかることができた日坂菜乃がいたからこそ、愛する人を思う最後にたどり着けたんだと思います。
うざいといっては失礼だけど、考え無しにぶつかってた菜乃が、こんなにも物語に触れて、こんなにも人を思ってくれて。心葉が彼女を見つめる視線は、まさに遠子先輩が心葉を見つめるのと同じだったんだろうなあ。そういう視線を感じることが出来たことが、この見習いシリーズの一番の収穫でした。
ツンとしてた琴吹さんは、菜乃に引っ張られるようにしながらも、ちゃんと思いを露わにして、本当に可愛いんですけど、彼女を彼女にすることはなく、そして迎えた卒業式で、菜乃の思いを受け止めた心葉が、心葉の言葉を受け止めた菜乃が、切なくも温かかった。一生忘れられない初恋だと思います。
ところで、あとがきの後に掲載されてた広告ページに、2011年に刊行が予定されている文学少女シリーズのタイトルが掲載されていました。「半熟作家と文学少女な編集者」って、これは!!!
楽しみで楽しみで待ちきれません。
“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)
野村 美月
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