「どうした、アリシア?」
無意識に夫の服の袖口を握ってしまったアリシアに気づき、カシュヴァーンが妻を見下ろした。「な、なんでもありませんの……あ」
逃げかけた手を掴まれた。指にカシュヴァーンの指が絡みついてくる。
「嫉妬しているなら、素直にそう言ってくれたほうが俺は喜ぶぞ?」
没落貴族にして「死神姫」と呼ばれる怪奇小説大好きなアリシアと、暴君と名高いカシュヴァーン・ライセンが結婚したら、というちょっとコミカルな夫婦生活を描いたシリーズの第九弾。今回は、ティルとノーラの婚約が間近という最中に、王家から仮装舞踏会の招待状が寄せられて、泣く泣く王宮へと向かうことになったが、そこで待ち受けていたのは、王子の策略で……というお話。
なんていうか、こう、ひどいね!カシュバーンとアリシアのいちゃつきっぷりが、見ちゃいけないレベルになってきました!可愛い可愛い奥様への保護欲全開なカーシュの嫁バカっぷりと、そんなカーシュに「お腹が痛い」から「お腹が壊れる」ようになっていくアリシアの様と、たまに見せる小悪魔よろしくないらん知恵ににんまりです。あー楽しい。
ふたりはの幸せ模様には、いろいろ当てられることが多かったですが、そんなふたりとは裏腹に辛い目に遭うのが、ティルとノーラでした。初めは幸せいっぱいだったのに、王子の手によって婚約が延期になったと思ったら、さらにはとんでもない嫌がらせを持ってきて。身分違いという引け目があるから、ふたりともなかなか一歩が踏み出せないのがもどかしい。動くなと言われたアリシアがやきもきする気持ちがとてもよくわかる……と思ったけど、彼女が動くといろいろ危ないからねー。カーシュとルアークの気苦労のほうがよくわかる。
それにしても、今回いろんな人が女装してましたが、誰得なんだろうという疑問はさておき(メイド服はどうかとおもった!)、ゼオが容赦ない動きを始めたのが、何ともアレです。これまではせいぜい嫌がらせ……にしちゃ質が悪いけれど、ぎりぎりのラインだったのに、国の安泰を盾にして押しつけようとするわ、さらにはあのラスト。危険すぎる。
こうなると、愛する人を、頼ってくる人を守りたいと思う男は、戦うしかないですよね。アリシアのために、みんなのために。いつの間にか、そんなカーシュに成長したんだなあと嬉しくなりました。
死神姫の再婚 -恋するメイドと愛しの花嫁- (B’s‐LOG文庫) (ビーズログ文庫 お 3-9)
小野上 明夜
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