「なんだか頼りないし」
「そうなの、すぐに泣いちゃうから、目がはなせないの」
「優柔不断そうだし」
「いつもぐるぐる迷っているわ。だから、わたしまではらはらしちゃうの」
「意地悪だし」
「でも……ときどき優しいのよ」
遠子先輩との思い出をという牛園くん、毬谷を思う二人の少女、お嬢様学校に馴染めない仔鹿ちゃんと彼女を見守る武田先生のお話などなど、文学少女と恋する人たちの物語の短編集第三弾です。
ああ、楽しい。ツンツンしながら、時折ほだされて三題噺で甘い話を書いちゃう心葉くんは、ほんと面倒くさい奴だと思ったりするけれど、こんだけの思いを抱えていたら……やっぱななせという道はなかったのかと思ってしまう。牛園先輩の思い出作りの手伝いで、出てきた感情は、間違いなく、ね。あのお話は、最後に手を繋ぐシーンがすっごい好きです。
今回は、遠子先輩の可愛いさが尋常じゃなかった。本の話をしている時のいきいきっぷりは、いつも素敵だと思っていたけれど、麻貴の別荘に連れていかれた話(あれは本編の何冊目だったかな)で、こんなやり取りがあったなんて……。こんなにもドキドキさせる言葉は、他にないと思いました。あの瞬間、僕は遠子先輩に恋したうん。
メインの二人の話ばかりではなく、本編で登場した歌い手さんの物語も良かった。先を知っているが故に切なくなるけれど、思いが通じ合ったあのときは、きっと……。
最後に仔鹿ちゃんと竹田先生のお話が三編ほど収録されていました。中学生という多感な時期に、周囲と馴染めずに危ない方向へいってしまいそうになる少女と、教師となった竹田の関係は、いいものでした。ちょっとずつ戻ってきた少女を前に、自分の心の折り合いをつけられない竹田がいて、もやもやしたものを抱えていたけれど、最後には、という展開が良かったです。
竹田と流人は、素敵な家庭を築いてくれると信じてる。
“文学少女”と恋する挿話集3 (ファミ通文庫) (ファミ通文庫 の 2-7-3)
野村 美月
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