「謝らないでくれ。本当に悪かった、もうこういうことはしない」
「え……、しませんの?」
またしても口を滑らせたアリシアは、一瞬置いて自分の発言の大胆さに気づいた。
真っ赤になって逃げようとしたが、またしても強く抱き寄せられ、身動きできない。
「……嘘だ。もう少し優しく、たくさんする」
没落貴族にして「死神姫」と呼ばれる怪奇小説大好きなアリシアと、暴君と名高いカシュヴァーン・ライセンが結婚したら、というちょっとコミカルな夫婦生活を描いたシリーズの第七弾。今回は、アリシアの誕生日間近に、怪物王子ゼオと、人をも食らうと噂される悪食大公ガーゼット侯爵がやってきて……というお話。
すっごい楽しかった!
アリシアとカシュヴァーンのやり取りは、ほんとニヤニヤしてしまいますね。アリシアの「お腹が痛い」が出てくるシーンがたくさんあって嬉しい限り。だんだんと甘えることを覚えていくアリシアが可愛くてしょうがない。
そんなアリシア視点もいいけど、カシュヴァーン視点はさらに上を行きますよね。ゼオがきたときの苛つき模様とか、膝枕とか、特別とか、何ですかこの嫉妬光線が見せる可愛さは。
無邪気なアリシアの行為に、ちょっとむくれたかと思ったら、いちゃつきですぐ機嫌が直る様や、余所の男性にアリシアを見せたくないとか独占欲を見せだしたときには、ゴロゴロ転がりそうになりました。
誕生日間近ってことでお祝いムードで盛り上がるかと思ったら、ゼオひとりで雰囲気が暗くなるから困りものでしたね。さすがのアリシアも空気を読むんだから、どんだけかがわかります。
入れ替わりでやってきたガーゼット侯爵の変人っぷりもアレでしたけど、アリシアが楽しそうだったから、個人的にはそれほど心配してなかったら……なるほど、そういうことなのね。人を想う気持ちを知っている人なら、きっと力になってくれると思います。 ただ、ゼオは相変わらず火種なので、また大きなことが大きそうだなあ。
個人的に残念なのが、ノーラとティルの距離かな。「忘れ物」とか、ほんといい感じだっただけに、離れてしまうのは残念でなりません。この二人がどうなっていくのか見守りたいですね。ま、カシュヴァーンも気づいてるなら、きっと何か手を打ってくれるんじゃないかと期待してる。
死神姫の再婚―孤高なる悪食大公 (B’s‐LOG文庫)
小野上 明夜
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