「独りでは見つけられないものも、みんなで探せば見つけられるよ」
血影の手を握り締め、真子とも互いに頷きあい、伊依は宣言する。
「探そう。影文くんの残してくれた虚無断片!」
アンダカに棲息するモンスターを召喚する「怪造」。その怪造した生物と友達になることを目標にした少女・空井伊依が、古頃怪造高等学校で遭遇する事件を解決していくシリーズの第九弾。今回は、魔王軍と戦う伊依の手助けができないことを悔やむ侍少女・戦橋舞弓が、怪造学会三大禁忌を追い、自身の秘密を知ってしまうお話です。
いやあ、面白い。虚無大公=影文ということに、伊依が気づいてたことは意外でしたが、それ以上に意外だったのが、今まで当たり前のように側にいた人たちが、実は重要なキーだったこと。とんとん拍子に話が進むけど、そこに仲間の存在が感じられるので、何ともいえない温かさを感じます。
そんなこんなで、魔王軍を止めるために、虚無大公の断片を集めようと伊依は頑張ってるんだけど、そんな伊依の頑張る姿を見守ることしかできない舞弓の思いは、やるせないものがありました。真っ直ぐなだけに、進めないとなると、袋小路になってしまうんだろうなあ。迷いが弱さを生み、気づけば伊依の背中を見るだけだった少女でしたが、ハイテンション女装少年・無城鬼京に引きずり回されるうちに、迷うぐらいなら突っ走ってしまえと、思い切りが良くなるところが良かったです。
あわせて、怪造学の禁忌「物造」についてと、「物造」を追い求めていった女性のお話が語られていくんですが、そこからこんなロマンスが見えるとは思わなかった。舞弓の母であるという女性が、血影に似ているという事実が、すべてを物語っていたんですね。
それと同時に、舞弓の秘密も見えたわけですが、普通ならばショックだろうに、むしろ糧にすることができるのは、彼女の強さですよね。
「諦めている暇があるなら祈ればいい!弱音を吐く声があるなら叫ぶがいい!その声は誰かに届く!世界を変えられる!だから決して助けを求め叫ぶことは愚かではない!まだ絶望するには早いのだ。さぁ叫ぶがいい、助けて、と!」
自分に不安を抱いていたはずの舞弓の力強い言葉に、涙を浮かべた伊依の姿が忘れられません。
いやあ、面白かった!
舞弓の復活もさることながら、虚無大公の素直になれない思いに切なくさせられて、最後。これがまた泣かせてくれるんだ。
はじめから物語にかかわっていたのに、どこか疎外されていた少女が、笑顔になる展開に、良かったねとつぶやきたくなりました。
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