風邪で寝込んでいた伊依が久しぶりに高校へ行ったら、古頃大祭なるものが開催されるという話を聞いた。いわゆる学園祭みたいなもので、人気投票により一位となる出し物をした団体には、校長が願いをかなえてくれるという。ランキング一位となるための熾烈な争いがあるだろうけれど、お祭りは楽しそうだ。
そう思っていた伊依だが、自分が休みの間に、なぜか企画の代表者として伊依が入っていて、しかも途中投票でランキング 6位であるらしく……
「怪造生物は友達」という伊依と「怪造生物は楽するための道具」という魔女こと鬼京、さらに争いを好まないという罠奈たちが、投票一位をかけて古頃大祭に挑むお話です。何が起こるのかという不安と、学園祭のワクワク感が伝わってきますね。
お祭りを引っ掻き回してくれる「亜玉の魔女」こと無城鬼京がいいですね。やってることは迷惑極まりないし、非常に悪役なんですが、一本信念が通っているせいか、とても華があります。伊依に感情移入しながら読んでいても、鬼京の言葉には惹かれるものを感じました。
おかげで虚島罠奈の印象が薄かったんですが、罠奈と伊依のやりとりの微笑ましさは、心に残ったなあ。
異なる意見を持った人たちと、考えをぶつけ合うことで、自分を見つめなおして成長していく展開は、戦いで相手を倒す展開よりも面白かったですね。特に悪党が、捻くれながらも伊依に対して塩を送るところや、切磋琢磨していくところがほんと良かったです。
ただ、最後の会話の部分が弱く感じました。理想はいいんですが、説得力に欠けるので、う~ん。伊依の信念が「布教」っぽくなっちゃうのもなんだなあ。とても盛り上がっていっただけに、尻すぼみな印象になってしまったのが、非常にもったいないです。
メインが古頃大祭の話とはいえ、さらにアンダカの「憤怒」と「悲哀」の争いが関わってくる展開だったので、シリーズ最長となるぐらいボリュームがありますが、あまりボリュームを感じずに読めましたね。というか、微妙に書き足りないんじゃないかと思うところがあったので、もっと長くするか、分けてもよかったんじゃないかな。
個人的には、もうちょっと学園祭っぽい雰囲気を前面に出してくれたら、と思いました。新メンバーがきたおかげで、いつものメンバーに出番があまりなくて、友人同士のワイワイガヤガヤが物足りないです。
あ、でも舞弓のメイド服のシーンは最高に笑いました。血影さんグッジョブ!
そういえば、珍しく伊依が嫉妬するシーンがありましたが、やっぱり遊は特別なのかな。今回登場したふたり+伊依、遊で、何かしら発展するものがあったりするのか、ちょっと楽しみだったり。
楽しみといえば、意外な人たちに繋がりがあったり、衝撃な事実が発覚したり、さらには総長が動き始めたということで、これからの展開がとても楽しみですね。これから波乱が起きそうな感じではありますが、伊依には信念を曲げずに頑張って欲しいものです。
アンダカの怪造学〈5〉嘘つき魔女の見つめる未来 (角川スニーカー文庫)
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