「役立たず扱いされるのって、辛いのよね。それはきっと、人も器物も同じ」
「……ああ」
「役立たずを返上しよう、草太。使えるやつなんだって証明するの」
携帯電話に取り付いたイタズラ好きな付喪神のミコトの冤罪を晴らす為に、草太は妖異の警察の調査を手伝うことに……というお話。
面白いんだけど、どこか物足りないかな。
ミコトのイタズラには困っても、封じられたりするのを黙ってみてるほどではなく。美人だけど生真面目な女子高生退魔師の刹里から冷たい視線を浴びながら、でも平凡な日常よりは面白いと、頭をつっこむ草太の気持ちはよくわかりますね。妖異とは、と言われたところで、ちょっとスリリングってことぐらいしか思えないですから。
いつくか事件を解決して、ちょっとは壁が取れてきたかなと思いきや、なかなか面倒な刹里と、草太をからかいつつ気にするミコトの関係は、とてもニヤリとしてしまうものがあり、どうするのかなと思いきや……突きつけられたのは現実でしたか。
個人的にはあの突き放し方はどうかと思わなくもないけど、危険にさらすわけにはいかないと思うなら、それも仕方ないか。
落ち込みながらもどこか甘えを感じる草太でしたが、ミコトの言葉に、自分の思いを自覚させられて、役に立てないかもしれないけれど、それでも雨が降れば傘を持つことぐらいはできる、そういう支え方に気づけたところがよかったです。ちくしょう、傘をこんな風に使うとは……やられました。素敵な描写です。
ただまあ、どうしても物足りなく感じてしまうのは、恋愛ものとしても、妖異との交流ものとしても、中途半端だからかしら。シリーズが続けば、もっといろいろ見えてくると思うので、そういう意味では続きが楽しみですね。
ちなみに、裏表紙のあらすじ部分や帯に「第11回角川学園小説大賞奨励賞受賞」と書いてありますが、あとがきによると本作は受賞作ではなく、別に書き下ろした作品のようです。「暗い・重い・痛い作品」らしい受賞作も気になりますね。
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