でも、本当に悲しい時、それを受け入れるのが正解なのか。
全部、諦めろというのが、正義なのか。
例えば、能力で救われた人に、やっぱり間違いだったから、もう一度苦しめというのが正しいのか。
―そんなわけが、ないだろう?
人口の約半数が能力者という咲良田の地で、世界を巻き戻す「リセット」という強力すぎる力を持つために、公的機関の「奉仕クラブ」に所属することになった浅井ケイと春埼美空が、遭遇する出来事を描くシリーズの第六弾。今回は、復活した二代目の魔女・相麻の協力を得て、咲良田の能力を消滅させようと目論む管理局の浦地が動き始めるお話です。
まさかこんな展開になるとは思わなかった。
能力は是か非かという視点から物語が描かれていき、能力があるから不幸になると思っている人たちが、伝手や権力を使って、少しずつ能力消滅へと持っていくという展開なんですが、浦地に協力する一方で、浅井ケイに断片的な指示をする魔女の思惑が見えないだけに、ドキドキする。
能力については、人それぞれ思いが異なるとは思うけれど、どれが正しいと言い切れないだけに、難しいよなあ。
そして、断片情報だけを与えられる浅井ケイは、ある意味振り回されていましたが、その一方でこれまでにない幸せな気持ちにたどり着けたことが嬉しい。なんとなく、ケイってこういうことを言わない気がしていたからなあ。ま、それは友人に背中を押されたこともあると思うけど。
そうだよ、もっと単純でいいんだよ。人への想いは。
ケイが届けたいと思った言葉によって、春埼が笑顔を見せてくれたことは嬉しく思いました。
ただ、この幸せが……なあ。まさか、このシリーズで、こんなにも切ない思いが描かれるとは思わなかった。能力があるからじゃない。好きな人の幸せを思った行動が、こんなにも重いものになっていたなんて、予想もしていませんでした。それは強さであり弱さであり。
シャワーにかき消された思いに、じわりとくる。
能力を嫌うものによって、まさにタイトルどおりの「サクラダリセット」が放たれ、全てが変わっていくのを見ると、これは正しいとは言えないのではないかと思ってしまいますが、ただひとつの力を持つケイが、このサクラダリセットにどう立ち向かっていくのか。続きが待ち遠しくてなりません。
サクラダリセット6 BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)
河野 裕
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