「浅井。君は生まれ変わったら、何になりたい?」
「僕は神様になりたい。いちいち人に試練を与えたりしない、人間不信じゃない神様に。お腹がすいてる人にはパンをあげて、悲しんでいる人は幸せにする。毎日、そんな仕事をして暮らしたい」
たぶんそれは人の為なんかじゃない。もっとエゴイスティックな理由で。世界中から、悲しみがなくなればいい。
「何か悲しいことがあったのか?」
そんなつもりはなかった。でも、そうかもしれない。
「今の世の中は、ちょっと悲しいことが多すぎると思うんです」
人口の約半数が能力者という咲良田の地。離れると能力のことを忘れてしまうという咲良田で、世界を巻き戻す「リセット」という強力すぎる力を持つために、公的機関の「奉仕クラブ」に所属することになったケイと美空が、「事故で死んだ猫を生き返らせてほしい」という依頼を受けるお話です。
これはとても良かった。雰囲気最高。そこらで感じられる切なさと、だからこそ感じられる優しさが素敵です。会話模様も素晴らしいので(猫の人との「下らない会話」が一番好き)、読み初めてすぐに引き込まれました。
で、本編。リセットには制限があり、自らの記憶をも共にリセットする美空と、リセットの影響を受けず全ての出来事を記憶するケイの二人が、制限を考えながら猫探しを始めるんですが、リセット後に依頼そのものに怪しさを感じて、さらにはリセットして巻き戻ったにも関わらず、記憶と違う展開が生まれてくるからじわりと不安がよぎる。
奉仕クラブ繋がりの人と、無関係のクラスメイトにまさかの関係が見えてくるところには、何ともいえない意地悪な偶然を感じましたが、解決に向けて動くケイの決断もまた意地悪なものがあったなあ。
力を過信して、周りを見ようとしない人に対しては、とても有効だけど、それだけで実行してしまうケイは、やはりどこか欠けてるものがあるんだと思います。死そのものを厭いながら、利用するのだから。
でも、欠けたところは、他人がいることで気づいていけるんですよね。
新たに得た友が、お互い補完しあっていければ、彼ら彼女らはきっと求めている以上に、優しくなっていけると、そう思いました。
いやあ、よかった。ほんとオススメ。
今回あまり語られていなかった美空の思いとか、二年前に何があったのかなど、気になることがいろいろあるので、ぜひとも続きをお願いしたいですね。
しっかし、あの瞬間はほんと驚いたなあ。すべて条件が示されていたのに、すぐさま気づけなかったのは、僕も動揺してたからなのかもしれない。ちょっと悔しい。
サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY (角川スニーカー文庫)
河野 裕
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