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[土屋つかさ] 放課後の魔術師 (1)オーバーライト・ラヴ

『れしあの会』の事を一発で見破った彼。目の前でストロベリーガムを取り出し私の口に突っ込んだ彼。私の頭の中では言いようの無い感情が桜の花のように舞い踊っていた。
「……あ、HRの時間、もう過ぎちゃったかな……」
でも、もう少しだけこの状態でいたかった。ちょっとだけ心地が良い。特に理由は無い。特に理由は無いけど、鼓動が、少し、速くなっていた。

転校生と思った少年は、何と教師だった!?生徒の間で出回っている噂をつい話してしまった播機遥は、担任教師となった秋津安芸に口止めをしようと近づいたら……論理魔術師たちの戦いの世界に足を踏み入れてしまったというお話。

これは面白かった!いろいろ評判が良かったので読んでみたら、いやあ、いいですね。
17歳にして教師という設定に恥じないキレ味のある頭脳を持ちながら、乙女心には察しの悪さを発揮する安芸と、そんな彼が気になってしょうがない遥。たまりませんね。はじめはちょっと気になるってだけだったのに、だんだんと惹かれていく様子が描かれてて、ああ、すばらしい。たまに天然なことをしてくれてドキドキさせてくれる安芸ですが、何気に鈍かったりするので、さりげなくも積極的な遥を応援したくなります。

で、そんな遥が、安芸たち論理魔術師の争いに巻き込まれていくんですが、ああ、なるほどと、膝をポンと打ったのは、遥の特技話です。まさか、こういう形で使われるとは思わなかったけど、気づいたときには嬉しくなってしまう楽しさがありました。こういうワクワク感がいいよなあ。

存在しないはずの会の招待状や、共に手をとって戦うことを決めながらも、隠し事を持つ理由など、ちょっとした謎がいい感じに引き込んでくれます。思春期らしい思い込みを利用した冷酷さなどもあるけれど、傷ついた心を親友が支えてくれるという展開が良かったです。引き出した『約束』も見事でした。

いやあ、面白かった。
二人の恋の行方もさることながら、論理魔術師の戦いもまだまだ続きそうだし、そもそも、遥の妹という存在も見逃せないので、これは続きが大いに楽しみです。

そういえば、この学校は、一見普通の学校で、実際ほとんどが普通の学校と同じなんだけど、校内には会話のできるホログラフィーのジェシカがいて、何かと雑務……というか、道案内とか電源管理とか、そういうことをしてくれて、なかなかにSFチック。こういうマスコットキャラクタって好きなんだよなあ。「すべてがFになる」でもデボラが大好きでした。
ま、この学校で一番面白いのは理事長ですけど。超ブラコンの安芸の姉が、毎度毎度必要以上のスキンシップで、安芸をいじめる姿にニヤニヤしまくりです。

第12回スニーカー大賞奨励賞受賞作。

放課後の魔術師  (1)オーバーライト・ラヴ (角川スニーカー文庫 208-1) - 土屋 つかさ

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