Home > ライトノベル > [清野静] 時載りリンネ! 5.明日のスケッチ

[清野静] 時載りリンネ! 5.明日のスケッチ

「ね、お姉ちゃん、私、ひとつおねがいがあるの」
「なあに?」
「今度、時砕きのぼうけんのおはなしをして」
リンネは破顔した。それが、会心の笑みであることをぼくは知っていた。
「いいわ、じゃあ今度、しおりちゃんがびっくりするようなとっておきのお話をしてあげる。こう見えても私、誰も知らないわくわくする大冒険はいっぱい体験してるんだから!」

本を読むことで、生きるための必要な滋養と、時を止める力を得ることができる「時載り」一族。人間と時載りのハーフである元気いっぱいな女の子リンネと、そんな彼女に振り回される久高が繰り広げる冒険物語の第五弾。今回は、大晦日からお正月を過ごすリンネたちの前に、新たな「街の住人」が現れて……素敵な出会いと、父親の行方の核心が見えてくるお話です。

やっぱりこのお話好きだなあ。
大晦日のせわしなさ、お正月のまったりさ、そんな日常をリンネと共に過ごすと、当たり前のことすら、楽しく感じてしまう。振り袖姿を久高に見せて照れたり、そんなリンネをみて久高も照れたり。凪はお兄ちゃんにむくれつつ、一緒にいられると喜んだり。ほんと素敵な雰囲気です。
個人的に一番好きなふたりのシーンは、パーティに向かうときに腕を組むところ。まったくリンネはおしゃまさんなんだから。

そんないつもの様子もさることながら、新たに出会った「街の住人」との話もいいんだ。絵描きである鷹見とその娘しおりとの出会いは、彼女に大きな影響を与えましたよね。特に妹のような存在となったしおりは、リンネをお姉さんにしてくれて。ああ、人はこうやって成長していくんだなと感じました。

成長といえば、時砕きとしても成長していきましたよね。後見人のハルナの強さは、どれだけリンネのあこがれになっていることか。ぶっきらぼうに見えるけど、弟子のリンネが可愛いんだろうなあと思える様子が、時々見られて、なんか嬉しくなってしまう。

とまあ、楽しかったりいいことが目立ちましたが、もちろんそれだけではなく。久高のおじいちゃんが持ち帰ってきたリンネ父の行方不明の謎については、これからのリンネの行く末を大きく左右することになりそうですね。

逸脱者という存在には、意外な黒幕がいるようなので、時砕きたち、そして父を思うリンネたちとしても、楽ではないかもしれません。それでもきっと、最後には、鷹見さんの書いた絵のような未来が待っていると、そう信じています。あったかいものいっぱいで、じわりとくるラストでした。

時載りリンネ! 5  明日のスケッチ (角川スニーカー文庫) - 清野 静

時載りリンネ! 5 明日のスケッチ (角川スニーカー文庫)
清野 静

角川書店(角川グループパブリッシング)(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[清野静] [時載りリンネ!感想一覧] [角川スニーカー文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [清野静] 時載りリンネ! 5.明日のスケッチ

Trackback:1

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/3157
Listed below are links to weblogs that reference
[清野静] 時載りリンネ! 5.明日のスケッチ from booklines.net
『時載りリンネ!』5巻の感想レビュー(ライトノベル) from 萌えレビュ! 2009-07-06 (月) 16:41
角川スニーカー文庫のラノベ、『時載りリンネ!5 明日のスケッチ』(清野静先生原作、古夏からす先生イラスト)が発売中で...

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [清野静] 時載りリンネ! 5.明日のスケッチ

Search
お気に入り

江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


一通の自殺予告メールが引き起こすノンストップ・サスペンス。

15×24 link1 (集英社スーパーダッシュ文庫 し 5-1) - 新城 カズマ15×24 link2 (集英社スーパーダッシュ文庫 し 5-2) - 新城 カズマ15×24 link three 裏切者! (集英社スーパーダッシュ文庫) - 新城 カズマ

メールを受け取った人たちが、自殺を止めるために動き回る群像劇。様々な推測によって近づく人もいれば、遠ざかる人もいて、スピード感抜群なうえに、予想もつかない展開が待ち受けているから面白い。毎度引きが強烈なので、どこまでも追いかけたくなる物語です。 → 感想


まさかこんな素敵な青春物語が読めるなんて!

電波女と青春男 (電撃文庫)電波女と青春男〈2〉 (電撃文庫)

甘酸っぱく、時に遣りきれない思いに苛つくこともあるけど、高いところから飛んでしまうような青春模様が素敵でした。笑いも沢山あるし、ほんと面白かった。とてもオススメ。→ 感想


聡明であるが故に孤独な少女プルーデンスと、蒼い衣をまとった名無しの吟遊詩人が、鳥の塔に至る迷宮の謎に挑むファンタジー

鳥は星形の庭におりる (講談社X文庫―ホワイトハート)

世界観といい雰囲気といいハマりまくりです。知識を持つが故に、両親や兄から疎まれて、家族といても孤独を感じていた少女なんですが、それをぐっと堪えて、誇り高さを忘れない姿勢が素敵でした。続きが出てくれると最高に嬉しいです。→感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下


十八番目の皇女という立場から、何も手にすることができなかった月華が、心の内に「龍」を飼う涼狐の剣舞に惚れて、剣を手にする中華風ファンタジーのボーイ・ミーツ・ガール。

DRAGONBUSTER 1 (1) (電撃文庫 あ 8-13 龍盤七朝)

淡々と語られている物語だと思っていたのに、気づけば引き込まれています。溜め込んだエネルギーが、次なる巻で爆発してくれることでしょう。背筋がゾクゾクするほど、楽しみでなりません。→感想

なかのひと

Page Top