「いささか面白味には欠けますが、市販されている小学生むけの工作セットなどを組み立てて提出するのはどうでしょう?」
「あら。そんなのイヤだわ!」
「なんでだよ。いい考えじゃないか」
「だって、どうせなら私、誰もやったことのような、すごい物を自由研究したいんだもの。一度見たら絶対忘れられないような、みんながあっと驚くようなすごい奴よ!」
本を読むことで、生きるための必要な滋養と、時を止める力を得ることができる「時載り」一族。人間と時載りのハーフである元気いっぱいな女の子リンネと、そんな彼女に振り回される久高が繰り広げる冒険物語の第四弾は短編集です。
- すっかり忘れてた夏休みの自由研究にリンネが取り組む「天体観測」
- 箕作家の司書・Gことジルベルトの日常をリンネが追う「ジルベルト・ヘイフィッツの優雅な日々」
- 上級生の挑発に乗ったリンネがフットサルに挑戦する「フィーバー・ピッチ」
- 番外編。久高の妹・凪が楽しみにする「凪の日」を描いた「凪、凪、夕凪」
これは楽しかった。
夏休みが終わる直前になって怒られながらようやく宿題に手をつけたり、今まで一緒にいるのが当たり前だったGが普段何をしているのか追ってみたり、義憤からはじめたフットサルに夢中になったり。そんなリンネと久高の姿を見ることができます。時載り話なくても、その魅力は衰えることなく、リンネの元気のよさを存分に感じられて、楽しかった。なんだかんだいって付き合う久高も楽しそうですよね。
どのお話も面白かったけど、短編集だからこそのお話である「ジルベルト・ヘイフィッツの優雅な日々」と「凪、凪、夕凪」の二編は非常に印象深いものがあります。
美人で有能で。小さいころから身近にいるから疑問にも思っていなかったGは、普段何をやってるんだろう?というところから、リンネが興味を持ち始める「ジルベルト・ヘイフィッツの優雅な日々」は、子供らしい好奇心がいっぱいで微笑ましい限り。司書の仕事って言うのは、見た目地味なんだけどいろいろやることがあるんですよねー。
男の影がちらついたところでは、思わず後をつけちゃったりするところが、あらまあと思いますが、それだけGのことを思ってるんでしょう。リンネからしたら姉のような、Gからしたら妹のような、そんなふたりの愛情たっぷりな繋がりが見えるお話でした。胸がいっぱいになる温かさに、思わず涙ぐむ僕がいた。
普段はあまり口を開かない凪が、その日だけは饒舌になる凪の日を描く「凪、凪、夕凪」。凪がかわいいなあ。お兄ちゃんと出かける嬉しさが伝わってきます。そろそろ思春期突入する久高からすると、妹とお出かけなんていうのは、ちょっと恥ずかしいことだったりするんだけど、でも、妹の喜ぶ姿を見ていたら、ね!こういう優しさをもてる男の子っていいですよね。
リンネがまったく登場しないという珍しいお話ですが、妹のために、お兄ちゃんらしい頑張りを見せてくれた久高に拍手を送ってあげたいです。
いやあ、面白かった。いつもどおりの面白さと、いつもとは違った面白さを堪能させていただきました。各登場人物については、もっといろいろ掘り下げてくれるのかな?遊佐やルウのお話があるとしたら、どんな感じになるんだろう。すっごい楽しみですね。
個人的には、リンネママのお話とかも読んでみたいなあ。
時載りリンネ! 4 とっておきの日々 (角川スニーカー文庫 203-4)
清野 静
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