「ね、あっちの世界とこっちの世界では時間の進み方が違うわけよね?」
「うん」
「あっちの世界にずうっとずうっといても、こっちの世界じゃとっとしか時間が進んでないのよね?久高けさそう言ったわよね?」
「う、まあ」
「ということは、むこうに行ったら私たち、思う存分遊び放題じゃないの!」
本を読むことで、生きるための必要な滋養と、時を止める力を得ることができる「時載り」一族。人間と時載りのハーフである元気いっぱいな女の子リンネと、そんな彼女に振り回される久高が繰り広げる冒険物語の第三弾。
今回は、「時の把手」と呼ばれるバベルの塔へ行き来できるドアノブをリンネが手に入れて、というお話。
いやあ、今回も良かった!
遊びすぎて学校の成績が芳しくないリンネに、ママさんが家庭教師をつけてくれたことが始まりなんですが、毎日毎日お勉強三昧になってしまって、ふくれるリンネの前に、バベルの塔へ行けるという「時の把手」というドアノブが出てきたら、そりゃ使っちゃいますよね。
クローゼットにドアノブを取り付けて、あけてみたらそこは……って、だけでワクワクさせられます。
しかも、あちらとこちらでは時の流れが違うという状況を確認したリンネが、突拍子もないことを思いつくんだから、いやはや遊ぶことに関しては、素敵なひらめきを見せてくれますよねぇ。
はじめは渋い顔を見せていた久高が、リンネの熱意に当てられて、バベルの塔への冒険にワクワクしていく様子を見ていると、こっちまでワクワクしちゃいました。こういう冒険心を呼び起こしてくれるから、このシリーズ好きなんだなあと思った次第。
用意された「時砕き」専用の部屋を自分の好みに変えて、それだけじゃ飽き足らず部屋の外を冒険して、気づけば迷ってしまったりもするわけですが、同じ年頃の時載りネリーと出会ってからの話がいいんだよなあ。
助けてくれたお礼のプレゼントを渡すシーンを筆頭に、本の話題についていけないことを悔しがって頑張るリンネ、だんだんと積極的になっていくネリーの様子など、会うたびに仲良くなっていくふたりの様子が、とても素敵でした。
それだけに「時の把手」が引き起こすすれ違いが辛いんですが。
会えることは楽しい。でも、本来、違うところに生きているふたりだから、次第に歪が見えてきて……。
気づけば、ネリーが大変なことになってしまうんですが、友のために全力で走るリンネと、そんなリンネを助けるために、自分のできることを考えて行動する久高の姿に、ああやっぱりいいコンビだなと、そう思いました。もちろん、仲間の存在も。
「お礼を申し上げますわ。久高様。久高様のおかげでわたくし、リンネ様が一番助けを必要とさいれているときにお側にいることができます」
リンネと久高にトラブルの原因があるとわかっているのに、責めることなく、やさしさと愛情で包み込んだGの言葉に、涙が浮かんでしまう。
ああ、面白かった。
リンネが時載りとして成長していくための大きな出来事といっていいですよね。塔で出会えた友の話は、きっとリンネの支えになってくれると思います。
さて、次はどんなワクワクする冒険譚を見せてくれるんでしょうか。とても楽しみです。
オススメ!
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