俺と母さんは、人を操ることができる糸を視ることができた。母さんから連絡が途絶えた後、山田と名乗った男は、母さんがこの力をもって町の闇と戦っていたと伝えてきた。そして、連絡が途絶えたなら、死んだ可能性が高い、とも。
母さんがそう簡単に死ぬはずがないと思った俺は、母さんの行方を掴むために、山田の依頼である町の闇を追い始めたが……
生まれつき人を操ることができる糸が視える透真が、同じ糸遣いの母の行方を捜すために、異能が関わっている連続通り魔事件を調査して……というお話。ちょっと青臭いところがあるけれど、ユーモア異能バトルなお話だと思ってたら、何ですか、この逆方向へのどんでん返しの連続は!中盤までと中盤以降の落差が良くも悪くも激しいですね。
体の中に百八の刀が収められている「刀姫」のカタナや、透真のボディーガードである冥など、調査の過程で知り合った者たちは、生い立ちを考えるととてもシリアスなんですが、一緒にいるときのやり取りがたまらなく面白いです。特にカタナ。人に慣れてないおかげもあるせいか、褒められたりすると真っ赤になったり、相手に落ち度があるときには、バッサリ切ることがあっても、手を差し伸べる優しさを忘れないツンデレっぷりが素敵です。
っていうか、初めて出会ったときのやり取りは、ひじょーにエロいことされてる気がするんですが、いいのか、カタナ。
ともあれ、事件を追う内に、相手の思惑を知り、自身のミスで仲間をピンチに追いやってしまって、と、スピーディかつサスペンスな展開は、面白かったです。ただ、ピンチに陥ったら覚醒しちゃうご都合さとか、憎き敵を相手にしてるはずなのに、ん?と首を傾げたくなるところもあったりして、何ていうか、感情の動きがドライすぎる気がしてなりません。
最後のほうは、特に主人公が微妙すぎて……。スピード感の溢れるアクションものとしても、キャラクタの掛け合いも面白かっただけに、後半の展開はちょっと残念でしたね。陰謀と言うにはあまりにも稚拙で、ノレないことこの上ない。
これじゃ続いても……と思ってたのに、何ですか、あのラストは。ぐ、この真相だけでも知りたい。なんだかんだ言いながら続きが気になる第11回スニーカー大賞受賞作奨励賞。
繰り世界のエトランジェ 第1幕
赤月 黎
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