「ろくでなしなりの忠告だ。よく聞いてくれ」ミハエル―まるでこれから戦闘が始まるというような厳しい目つき。
「こうした状況では、どこで誰がどんな罠を仕掛けているか分からん。くれぐれもMPBとしての本文を外れず、独走するな。独断と独力で何かをしようとするな。全て俺と、組織を通せ。いざというとき俺とMPBがお前を守れるように。いいな」
凶悪犯罪やテロが多発しているオーストリアの首都であるミリオポリスで、機械化された肉体を武器に治安の維持にあたる特甲少女たちの活躍を描くシリーズ。オイレンシュピーゲルシリーズ(MPB: ミリオポリス憲兵大隊)と、スプライトシュピーゲル(MSS: ミリオポリス公安高機動隊)が合流してひとつの物語となった最終章の第一弾です。
凄い。凄すぎる!もう、圧倒されるばかり。
合流したとはいえ、基本的にMPBの黒犬、紅犬、白犬を中心として、テロリストたちとの対決が描かれていくんですが、序盤からピンチの連続だわ、過去を刺激するエピソードが連続するわ、そこいらに罠が仕掛けられているわで、読み進める手が止まらない。
涼月は尋問訓練しながら勉強に勤しみ、陽炎はミハエルと共に過去の事件を追い、夕霧はママの電話から電子戦へと、三者三様の行動をしているんですが、それぞれゾクゾクさせられる戦いを見せつつ、仲間がいないことの不安定さが伝わってきて、早く、早く合流を!と何度思ったことか。
個人的に面白かったのは、尋問シーン。美しき魔女と神父のチェスゲームのような会話は、もっと読みたかった!ああ、いま思い出しただけでもゾクゾクする。
他の二人だって負けて無くて、夕霧の大合唱シーンや、陽炎のエレベータアクションは、ほんとすごかった。さらに、MMSメンバーと背中合わせで戦うところとか、もう!見所満載でした。
子供たちだけじゃなく、彼女たちを支える大人も格好良くて素敵だったなあ。誤解されることはあっても、守るべき人を守ろうとする姿にしびれる。
とはいえ、一番しびれさせてくれたのは、大人じゃなく、同じ特甲児童である吹雪でした。これまでどこか頼りない姿を見せていた彼が、好きな人のために見せた覚悟は、正直涙ものでしたよ。
ただ、それを受けた涼月が……
砕かれる心と止められない怒りが引き起こす惨事は、やりきれない思いでいっぱいになりましたが、でもまだ希望はある。それは忘れちゃダメですよね。 これからも辛いことがあるだろうけれど、少なくともMPBは隊長たる涼月が復活すれば、なんとかなると思いたい。
それよりもMSSですよ。いったいどうなってるんだ……MSS側に何が起こったのか知りたくてたまらないので、ぜひとも次の巻で全容を明らかにしてほしいところです。
テスタメントシュピーゲル 1 (角川スニーカー文庫)
冲方 丁
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- 今夜はもう1冊、本の紹介をいたします。次は冲方丁先生の小説「テスタメントシュピーゲル」です。








