Home > ライトノベル > テスタメントシュピーゲル(1) / 冲方丁

テスタメントシュピーゲル(1) / 冲方丁

「ろくでなしなりの忠告だ。よく聞いてくれ」ミハエル―まるでこれから戦闘が始まるというような厳しい目つき。
「こうした状況では、どこで誰がどんな罠を仕掛けているか分からん。くれぐれもMPBとしての本文を外れず、独走するな。独断と独力で何かをしようとするな。全て俺と、組織を通せ。いざというとき俺とMPBがお前を守れるように。いいな」

凶悪犯罪やテロが多発しているオーストリアの首都であるミリオポリスで、機械化された肉体を武器に治安の維持にあたる特甲少女たちの活躍を描くシリーズ。オイレンシュピーゲルシリーズ(MPB: ミリオポリス憲兵大隊)と、スプライトシュピーゲル(MSS: ミリオポリス公安高機動隊)が合流してひとつの物語となった最終章の第一弾です。

凄い。凄すぎる!もう、圧倒されるばかり。
合流したとはいえ、基本的にMPBの黒犬、紅犬、白犬を中心として、テロリストたちとの対決が描かれていくんですが、序盤からピンチの連続だわ、過去を刺激するエピソードが連続するわ、そこいらに罠が仕掛けられているわで、読み進める手が止まらない。

涼月は尋問訓練しながら勉強に勤しみ、陽炎はミハエルと共に過去の事件を追い、夕霧はママの電話から電子戦へと、三者三様の行動をしているんですが、それぞれゾクゾクさせられる戦いを見せつつ、仲間がいないことの不安定さが伝わってきて、早く、早く合流を!と何度思ったことか。

個人的に面白かったのは、尋問シーン。美しき魔女と神父のチェスゲームのような会話は、もっと読みたかった!ああ、いま思い出しただけでもゾクゾクする。
他の二人だって負けて無くて、夕霧の大合唱シーンや、陽炎のエレベータアクションは、ほんとすごかった。さらに、MMSメンバーと背中合わせで戦うところとか、もう!見所満載でした。

子供たちだけじゃなく、彼女たちを支える大人も格好良くて素敵だったなあ。誤解されることはあっても、守るべき人を守ろうとする姿にしびれる。

とはいえ、一番しびれさせてくれたのは、大人じゃなく、同じ特甲児童である吹雪でした。これまでどこか頼りない姿を見せていた彼が、好きな人のために見せた覚悟は、正直涙ものでしたよ。
ただ、それを受けた涼月が……

砕かれる心と止められない怒りが引き起こす惨事は、やりきれない思いでいっぱいになりましたが、でもまだ希望はある。それは忘れちゃダメですよね。 これからも辛いことがあるだろうけれど、少なくともMPBは隊長たる涼月が復活すれば、なんとかなると思いたい。

それよりもMSSですよ。いったいどうなってるんだ……MSS側に何が起こったのか知りたくてたまらないので、ぜひとも次の巻で全容を明らかにしてほしいところです。

テスタメントシュピーゲル 1 (角川スニーカー文庫) - 冲方 丁

テスタメントシュピーゲル 1 (角川スニーカー文庫)
冲方 丁

角川書店(角川グループパブリッシング)(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[冲方丁] [オイレンシュピーゲル感想一覧] [スプライトシュピーゲル感想一覧] [角川スニーカー文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > テスタメントシュピーゲル(1) / 冲方丁

Trackback:1

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/3417
Listed below are links to weblogs that reference
テスタメントシュピーゲル(1) / 冲方丁 from booklines.net
冲方丁 テスタメントシュピーゲル1 from たかいわ勇樹の徒然なる日記 2010-01-03 (日) 00:15
 今夜はもう1冊、本の紹介をいたします。次は冲方丁先生の小説「テスタメントシュピーゲル」です。

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > テスタメントシュピーゲル(1) / 冲方丁

Search
お気に入り

超能力者との恋と青春!

超能力者のいた夏 (メディアワークス文庫) - 寺本 耕也

超能力者といっても何が変わるわけじゃない。ちょっぴり驚くことも多いけれど、寮生活を共にするうちに打ち解けあう姿がすばらしかった。みんな魅力的でこんな寮に住んでみたいと、そう思える青春ものでした。→感想


糖度パネエ!

悪魔のような花婿 (コバルト文庫) - 松田 志乃ぶ

悪魔伯爵と呼ばれた男に嫁入りした泣き虫姫の新婚ライフ。可愛らしくていじらしくて気恥ずかしくてニヤニヤして、喧嘩すら微笑ましい。読んでて砂を吐きそうになるぐらい甘いやり取りばかりだけど、羨ましくて楽しくて続きが読みたい。大好き。 → 感想


青春の下校ライフ!

484013250X484013426X

男一人に女の子三人で下校する。ただそれだけのお話なのに、楽しんでる様子が伝わってきてほっこり温かい。毎日一緒にいるのに、ひょんなことから意外な素顔を見て……みたいなのはいいですね。ほんのりある恋愛要素もニヤニヤです。→ 一巻感想 / 二巻感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top