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[冲方丁] ばいばい、アース(3) 爪先立ちて望みしは

ベルたち三人は、ジンバックの死を弔問するために、外へと向かった。前代未聞ね、というミストは呆れたが、そこで感じる仲間の雰囲気をベルは好ましいと思うようになっていた。その弔いの儀礼の場で、ギネスがカタコームへ呼びかけ、カタコームもまた、ギネスの言葉に反応を示した。だが、隠された物事が動き始めようとしたとき、飢餓同盟に身を投じたアドニスが、城へと向かってきて……

猫、蛙、鼠、兎などといった動物的特徴を持った人々がいる世界で、ただひとり、何ら特徴を持たない少女ベルが、自分の存在する意味を知るために剣を振るうお話の第三弾。今回は喪失を感じる物語でした。

ああ……初っ端のジンバック話のなんと切ないことか。ほんの少しの間とはいえ、共に戦った者との間に生まれる絆の強さを感じます。ミストの背負うものの重さも感じますが、ギネスとのやり取りなどに触れるにつれて、その重荷もまた分け与えることが出来る、仲間という存在の心地よさが、とてもよかった。こういう雰囲気は、全巻を通じて感じられるんですが、いつ遭遇しても、いいなと思えますね。

そんな良き雰囲気が、よりによってアドニスの手によって、壊れていくから、辛いんだこれが。キティや城で剣を振りかざしすのはともかく、ベルにまで……。嵌められた脚本が描く悲劇が辛かった。
<唸る剣>を巡るあたりには、絶望すら見えるほどの深い思いを感じましたが、そこで剣が見せた誇り高い意思に、心が震えるものがありました。

落ち込むことがあっても、這い上がってくるところは、ベルもアドニスも同じだけど、仲間の支えがあったものと、強制的なもの(という言い方も変だけど)との差が、今後出てきそうですね。

それにしても、終盤の戦いの迫力といったら!ベルの強さはいつもながらのこととして、ベネットと見せ場があり、そして何より、大胆で繊細なギネスの指揮に魅了されまくりでした。強いとはいえ、まだまだベルは、彼らに適わないものがあることを見せてくれましたね。

それにしてもガフがだんだんとヘタレてきて、代わりにシェリーが強さを見せてきてくれましたが、さて、ここから奥に何が待ち受けているのか。最終巻が、とても楽しみです。

ばいばい、アース 3 (3)  - 冲方 丁

ばいばい、アース 3
冲方 丁

角川書店(文庫)
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