Home > ライトノベル > [冲方丁] オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder

[冲方丁] オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder

仕事帰りのちょっとした自由時間に、涼月は吹雪の体に起きた異常を目の当たりにした。脳に埋め込まれたチップを通じて、持ち主を生存させたままハッキングがされ、持ち主が死ねば兵器として、稼動する。死せずとも高負荷に脳が耐え切れるかどうか。人殺しの現場に出ることのない彼が、なぜこんな目に?
吹雪を元に戻すために、MBPのケルベロスは、捜査を始めたが……

黒犬、紅犬、白犬のコードネームを持つ、ミリオポリスの治安維持部隊MPB遊撃小隊に所属するケルベルス隊の三人の少女が遭遇する事件を描いた物語の第三弾。涼月と吹雪の幼いころの関係と複雑な思いが見える「Like Blue Murder」、陽炎の部屋にあった見覚えのないぬいぐるみを追ううちに、大きな事件に巻き込まれる「Scarlet Ob-La-Da」、バイオリン弾きの男の子が気になる夕霧が、とある真実と出会う「Holy Week Rainbow」の三篇からなる短編……というよりは、連作短編という感じでしたね。

それぞれの内面を深く見せながら、「初出撃時」というキーワードがずっと付きまとってて、特甲児童についての核に触れるようなことがチラチラでてくるから、いったい「初出撃時」に何があったのかと興味津々。

涼月と吹雪については、まさか、ああいった過去があるとは思いませんでした。涼月が持つ嫉妬は、もちろん、羨ましいという気持ちもあったんだろうけれど、それ以上に、吹雪が眩しかったんじゃないかしら。
パイポに込められた思いに、グッときます。

今のところ、姉弟みたいな感じにも思えなくないけど、吹雪は全力で涼月を気にしてるし、今回の事件と停電デーのときの話とかで、涼月もだいぶ意識するようになったみたいだし、微笑みながら眺めてたいものがありますね。素直になれない涼月なので、進展は難しいかもしれないけど、きっかけがあれば一気にいけるぞ、がんばれ吹雪と応援したくなる。

一番面白かったのは、陽炎の話ですね。個人的に好きだってのもあるけど、ミハエル中隊長と遭遇したときの、表では澄ましながら、内面で焦りまくる乙女心全開なところは、笑いまくり。
かと思えば、必要とあらば色仕掛けをしてポイ捨てする非常さも見せられましたが、コレと決めた存在については、守り抜く姿は、クールな外見とは裏腹に、もっとも熱いものを感じます。伊達に紅がトレードマークじゃないですね。
思い出せない初出撃時の出来事の一端が見えたところに、思わずホロリ。

三編目は、夕霧の物語というよりは、その前の二編で見えてきた初出撃時の謎が、一気に見えてきたお話でしたね。まさか、スプライトシュピーゲル側の鳳の顔の傷が……だったとは思わなかったです。「スプライトシュピーゲル」との関連が、一番多かったですね。今回先にあちらの三巻を見てたので、ニヤリとさせられるものがありました。

夕霧という不安定な存在のおかげで、不安を掻き立てられることこの上なかったですが、ひとまず仲間の元へ戻ってきてくれたのでよかったーとホッと一息。とはいえ、例の人が野放し状態になってるので、都市の危険度は、全然変わってないですよね。むしろ余計に?と思わなくもないです。

こうなると、次あたりまたMSSとの連携があったりするのかしら。例の事実に気づいてしまったこともあるので、ちょっと不安ではありますが、それぞれに大切な仲間がいる以上、きっと乗り越えてくれるでしょう。大いに楽しみです。

オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder (3) (角川スニーカー文庫 200-3) - 冲方 丁

オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder (3) (角川スニーカー文庫 200-3)
冲方 丁

角川書店(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[冲方丁] [オイレンシュピーゲル感想一覧] [スプライトシュピーゲル感想一覧] [角川スニーカー文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [冲方丁] オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder

Trackback:3

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2037
Listed below are links to weblogs that reference
[冲方丁] オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder from booklines.net
失われた記憶を求めて。『オイレンシュピーゲル 3』 from うかばれないもの 2007-11-05 (月) 22:35
オイレンシュピーゲル 3 (3) (角川スニーカー文庫 200-3) 冲方 丁 今では平気になった、仕事で人を殺すときの感覚。だけど、一番最初...
[書評][冲方丁][オイレンシュピーゲル][SF][アクション][シリアス][トラウマ/エグい][★★★★★]オイレンシュピーゲル(3) from いつも感想中 2007-11-11 (日) 16:00
オイレンシュピーゲル 3 (3) (角川スニーカー文庫 200-3) 作者: 冲方丁 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2007/11/01 メデ...
冲方丁 オイレンシュピーゲル3 Blue Murder from たかいわ勇樹の徒然なる日記 2007-11-25 (日) 15:26
 先日冲方丁先生の小説「スプライトシュピーゲル」の第3巻を紹介しましたが、同時発売された「オイレンシュピーゲル3 Blue Murder」も読み終わりまし...

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [冲方丁] オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top