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[冲方丁] ばいばい、アース (2) 懐疑者と鍵

ひとつの戦いが終わった。終わったはずだった。だが、戦いは終わっていなかった。ちょっとしたわだかまりを抱えていたベルだが、そこでひとりの女性と出くわした。シェリーと名乗った女性は、なんと王の愛娘であるという歌姫だった。世間知らずなシェリーの心に触れていくうちに、何とはなしに孤独感に襲われたベルは、アドニスに相談を持ちかけてみたが……。

いかなる種族的な特徴も持たぬ少女ラブラック=ベルが、自身を知るための旅に出るために、剣を降るお話の第二弾。今回は崩壊と再生のお話ってところでしょうか。

死闘を繰り広げた仲間たちとの平和なやり取りが見える序盤が楽しく、新たに登場した歌姫シェリーとの交流も心温まるものでした。「歌」を通じて彼女との距離が一気に縮まり(あれは感動なんてもんじゃなかった)、舞踏会での共犯者のような悪戯めいた行動など、ほんと微笑ましく思えるものがたくさんあったなあ。

「のっぺらぼう」であることは、いまだ心の奥底でくすぶるものを感じましたが、同じように抱えるものがあるアドニスとのやり取りが良かったです。このまま支えあえていけたらと思っていたんですが……。まさか、こういった方面から、突き崩されるとは思いませんでした。試練と鍵が与えた迷いもそうですが、それ以上に彼女にとって、仲間という存在が、特にアドニスへの思いが、こんなにも大きなものになっていたんだなあ。

揺らがないものを感じていただけに、幼い心がむき出しになってくるところには、辛いものがありましたが、彼女の閉ざされた心に、風を送り込んでくれたのが、失ったかに見えた相手だったところに痺れまくり。たしかにあの状況のベルに触れることができるとしたら、あの人しかいませんよね。嫌味のような言葉が、むしろ心地よく思えて、ありがとうというベルの言葉が聞こえる気がしました。
さよならという言葉を伝えることが出来たのは……やっぱりちょっと切ないです。

一方、ベルから共に旅に出ようと誘われたアドニスも堕ちていきましたが、こちらも酷かった。よりによってそっちに行くとは。自分だけの剣を手にしたことは、喜ばしいとは思いますが、闇に向かってるようにしか見えない。ひとつの殻を抜け出したようにも思えますが、彼が手に入れた強さは、ベルと再会したときにどう現れてくるのか、気になるところです。

ああ、やっばいぐらい面白い。

ばいばい、アース 2 懐疑者と鍵- 冲方 丁

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冲方 丁

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