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[冲方丁] ばいばい、アース (1) 理由の少女

尻尾も、鱗骨も、体毛もない。大きな目玉もとがった耳も、角もない。いかなる種族的な特徴も持たぬという特徴の少女は、身の丈をはるかに超える長さの剣を持った少女ラブラック=ベルは、自分のルーツを知るために、旅の者―ノマドとなる決意をした。そして、ノマドの契約を得るために、王の試練を与えられたベルは、剣士として<都市>と<外>の戦いに臨むことになったが……

猫とか蛙とか鼠とか兎とか、そういった動物的特徴を持った人々がいる世界で、ただひとり、何ら特徴を持たない少女ベルが、自分のことを知るために、剣を振るうお話です。

いやあ、楽しいや。ちっちゃな女の子が、ベルセルクよろしく、身の丈を超え、大の大人ですら、持ち上げることのできない大剣を振り回して、相手を倒していくなんて素敵じゃないですか。かといって、ただ闇雲に強いだけじゃなく、誰とも相容れないが故の孤独や、生い立ちにおびえたりと、内面の弱さも見せてくれるから、「理由の少女」たるベルが、どういう道を選んでいくのかに惹かれるばかり。

そして、何といっても圧巻は、城の剣士たちが、<悪>に堕ちたものと戦う第三章の死闘です。ピンチに継ぐピンチの連続で、切り抜けることすら、ままならない中、意外な友情が芽生えたり、生き残るために<正義>と<悪>が手を結んだりと、めまぐるしく変わる展開に、ハラハラドキドキ大興奮。
どんなに絶望的な状況であっても、決して諦めずに、自身のできる最大限のことをやろうとする姿の格好よさといったら!命を賭けて、敵を打った彼の人の覚悟に、拳が奮える思いでいっぱいでした。

個人的に一番印象に残っているのは、育ての親と、再び会ったシーンですね。顔を会わせることに怯えながら、それでいて会いたいというベルの気持ちがわかるだけに、再会したときに知ってしまった事実には、やりきれない思いでいっぱいにさせられました。が、その後の言葉の意味を知ったときには、もう、何とも言えない温かさが、胸に広がってきて、思わず涙……。

いやあ面白かった。悲しくも切ない終わり方に、また新たな人間関係が生まれてきそうな気がしますが、謎めいたものは、まだまだたくさんあるので、これからの試練が楽しみですね。四ヶ月連続刊行ってことで、待たされないのも嬉しい限り。
個人的には、長耳族がどういうポジションになるのかすっごい気になり中。

ばいばい、アース 1 (1)  - 冲方 丁

ばいばい、アース 1 (1)
冲方 丁

角川書店(文庫)
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【感想】 「ばいばい、アース† 理由の少女」 from 読書事情 2007-10-17 (水) 00:18
 地には花、空に聖星、人々は猫や蛙、鼠など様々な動物のかたちを纏う。 この世界に、ラブラック=ベルはたったひとり、異形のものとして生まれた。 牙も毛皮...
「ばいばい、アース 1 〜理由(ことわり)の少女〜」冲方丁 from 読書とジャンプ 2007-11-10 (土) 09:11
ただただ、読者の想像力を試される1冊でした。地には花、空に聖星、人々は猫や蛙、鼠などさまざまな動物のかたちを纏う。この世界に、ラブラック=ベルはたったひと...

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