オーラン先住民虐殺事件の現場を見て、改めて自分の決意を固めたエルバが、戻ってきたとき、博物館は篭城をしていた。どうやら税務署がなんやかんやとケチをつけて、追徴金をふっかけてきたらしく、テッキがキレていたのだ。どうせ対したことじゃないだろうと思っていたエルバだが、実は八眼争覇に参加する敵が仕掛けてきたもので……
魔王のレンズを手にする八名のうち、勝ち残ったものの望みを叶える―レンズをとおして悪魔を召喚する異能者たちが繰り広げる八眼争覇の物語の第五弾。今回は、魔神ネアの契約者が、テッキたちを追い詰めるために、戦力だけじゃなく権力も使い始めて……というお話。
いつもどおりのコミカルな始まりだったけど(三つシリーズって久しぶりじゃない?)、オーランの民の成り立ちや、サクラの知り合いであるリの一族のエイジ登場したと思ったら、竜人なる言葉まで出てきて、興味津々。いろいろなところで、つながりが見えてくると俄然おもしろくなりますね。
しかも、今回は敵側がすごかった。力ではなく、税金というところから、追い詰めていくとは思わなかった。まあ、お金合戦にはならなかったものの、徴税という形で公式に戦力を向けるんですから、頭のいい卑劣さですね。また、徴税係が、狂戦士だからたまったもんじゃない。個人的にはもうちょっと狂っててくれると面白く思うんだけど、それはおいといて、税騎士三人と魔神ネアが敵としてエルバたちの前にやってくるんですから、ドキドキしっぱなし。
ドキドキといえば、八眼争覇と関係ないところでも、微妙なきな臭さが漂ってて、特にクラヴリーの内通者話は、まさかそういう方面にいくとは思いませんでした。これは非常に胸が痛くなる展開になりそう。思わず目を瞑りたくなるものがありますが、今後彼がどういう行動をするのか、気になるところです。
戦力のみならず権力まで使われては、テッキたちとて逃れきれないところがあるんですが、そんな中、感動させられたのは、追い詰められた博物館へ、まさかの味方がきてくれたところですね。脇役もいいところなんですけど、なんですか、この格好良さは。もし、自分がその場にいたら、間違いなくハグしてたと思います。絶望に近い状況の中でも手を差し伸べてくれる人がいる嬉しさに、思わずグッとくる。
それでも、戦力差は否めませんでしたが、知恵を絞っての戦いが見事でした。ここからの盛り上がりはすごかったですね。ひょっとして最終巻かと思うぐらい引き込まれました。ぎりぎりまで粘りながら、退かざるを得ないところには、テッサたちの苦渋を感じますが、最後まで諦めない姿がよかったですね。
一時撤退こそしたものの、共通の敵を相手するために、昨日までの敵と手を取り合う最後には、熱くなったなあ。こういう展開って興奮しますね。
決着がつく、次作がほんと楽しみです。
レンズと悪魔 5 (5) (角川スニーカー文庫 179-11)
六塚 光
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