長期の流刑者が集められるデスドレッド島から、十一名が脱走した。しかもその中には、オーラン虐殺事件の首魁がいるというのだ。事態を重く見た軍警察は、通常の数倍の懸賞金をかけ、腕に覚えのあるものは皆、脱獄者を追い求めた。エルバたちも例外ではなく、特にファルナは普段よりも張り切っていたが、それが裏目に出てゴロツキたちに絡まれていたとき、助けてくれたのは、何とその脱獄集団の首魁であるガーディアンで……
懸賞金目当てで脱獄囚を捕まえようとしたら、首魁のガーディアンが父の知り合いで、しかも魔神との契約者だというお話です。
はじめの流刑所や脱獄のシーン、さらに虐殺事件の説明と続いていったところで、彼らをどうやって捕まえるのかとワクワクしてましたが、そうだった。よくよく考えたら、探偵ものじゃなくて、八眼争覇ものだった。テッキに指摘されるまで、すっかり忘れてましたよ。魅力的な話の始まりに引き込まれるばかりです。
虐殺者と言われながら、それほど悪く見えないガーディアンに、心揺らすファルナの気持ちはわかりますね。さりげなく容赦ない人なので、一概にいい人とは言えないけど、敬意を払える敵と戦うのは、やっぱり辛いですから。もう一人、新たに出てきた魔神ネアのほうがよほど戦いやすいでしょう。
戦わねばならないとはいえ、ネアの提案どおりに動く必要はないと思うのになあと思ったけど、悪人だから倒すのではなく、敵だから倒すという心意気は良かったです。
今回は敵のパートナーもいい味出してましたね。チキュウ空手の使い手として、圧倒的強さを見せてくれたリデルの地動説、天動説のカッコよさったらないです。追い詰められたテッキが、恥ずかしい思いをしてようやく戦えるといったところに、楽しくも力強いものを感じました。
テッキといえば、あの過去の話は、なんて残酷な……。肉体的な痛みもさることながら、精神的な痛みのほうが遥かに大きいと思います。今、心穏やかになってることが不思議でなりませんが、本気で敵と認識した相手と対峙したらどうなるんだろうと、心震えるものがあります。
シリアス方面が多くなったせいか、一巻のころのような軽快な会話からのコミカルさが減ってしまいましたが、それでも時折見せてくれるやり取りはいいですよね。博物館に足を運んできたガーディアンとの力抜けるやり取りに思わずニヤリ。
ともあれ、これで、またひとり八眼争覇から脱落。ただ、脱落とはいえ、ガーディアン自体は、生身でも強いし、誤解も解けた気がするので、ひょっとしたら、共同戦線とか張っていくのかな。次なる敵は、どうやらかなりやっかいな人みたいですし。
人間関係としてはそれほど複雑じゃないんだけど、勢力としてどうなるのかちょっと予測がつかないので、八眼争覇のみならず、復讐やら思惑やらがどうなっていくのか楽しみです。
レンズと悪魔 3 (3) (角川スニーカー文庫 179-9)
六塚 光
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