「いや……。相変わらずめちゃくちゃだと思って」
「何よ、嫌味ね」
「嫌味じゃなくて、惚れ直してるんです」
「……!? き、急に何、こんな時に変なこと言わないでよっ」
「あなたを守る剣は俺が持ってるから。俺を守るだとか可愛いことは言わないで、今日は大人しく守られていてください」
貧乏パン屋の娘であるミレーユが、伯爵家の養子となった双子の兄フレッドの身代わりとして王宮へあがったら、事情を知ってる騎士リヒャルトと共に、いろいろ騒動に巻き込まれるお話の第十一弾。今回は、リヒャルトの王位奪還のために単身宮殿へと向かったミレーユが囚われの身になり、しかも記憶を上書きされて……というシアラン編の完結となる物語です
あー、もう!なんというゴロゴロ本なんだ!
シアラン大公の手によって、記憶を失い、花嫁衣裳まで着させられたミレーユでしたが、心配してたら、どんなときでも彼女は彼女だったりして、その型破りっぷりにニッコリ。
で、ミレーユを取り戻しにいったリヒャルトの全開っぷりが、素晴らしかった。嫉妬光線を出しまくりだし、近づいたら……という積極的行動に、こんちくしょうと頬の緩みが止まらなかったです。そりゃミレーユもぼうっとしてしまうよ。逃亡劇を繰り広げてる最中でも、甘いやり取りを忘れない様にニヤリニヤリ。
いろんな意味で、野獣と呼ばれたリヒャルトの本領も見せてもらいましたが、それより何より、これまで我慢して、言いたいのに言えなかった、たった一言を告げることができたミレーユに……良かったねと頷きたくなりました。彼女はどこか男女平等の距離を持っているから、大切な人を作れるのか不安ではあったから、こうして想いを告げることができて、ほんと良かったです。
そんな二人の様子もさることながら、シアラン大公の手をくぐり抜けて、でも多勢に無勢だったりするところで大活躍してくれたのが、我らがフレッドだったところが嬉しかったなあ。やっぱり、この人の明るい腹黒っぷりはいいですよね。
計算高く、利用できるモノは何でも利用して、妹を傷つけようとする輩は、決して許さないその強さに、拍手したくなりました。
妹が離れて行ってしまうのは可哀相だけど、彼を思ってる人もいるんだし、そんな寂しがらないでほしいな。
いやあ、面白かった。
リヒャルトに嫌疑をかけられてから八年の歳月が経ち、その間、苦労も多かったと思うけれど、再び故郷に戻ることができて、しかも愛する人が傍にいてくれるんだから、こんな嬉しいことはないだろうなあ……まあ、ミレーユの父とはいろいろ大変そうだけど、それは乗り越えていってほしいものです。
さて、これで一段落付きましたが、まだ話は続くそうです。次からは新章となるとか。ミレーユの花嫁修業とかが見られるようになるみたいですね。またコミカル展開になるのかな。今回のお話の最後で、何やら不穏な言葉を残した人もいたので、そちらの動きも気になるところです。
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