「見当違いなこと言っても、笑わないでくれる?」
「笑いませんよ」
そう言いながらもすでに微笑んでいる彼に、ミレーユは散々躊躇ってから、思い切って質問をぶつけた。
「リヒャルトは……、……もしかして、あたしのことが好きなの?」
貧乏パン屋の娘であるミレーユが、伯爵家の養子となった双子の兄フレッドの身代わりとして王宮へあがったら、事情を知ってる騎士リヒャルトと共に、いろいろ騒動に巻き込まれるお話の第九弾。今回は、ミレーユはリヒャルトのために、リヒャルトはミレーユのために、突き進んでいくお話しです。
これは面白かった。とてもゴロゴロさせられた!
リヒャルトのためなら、敵のいるところだろうが、炎上する城の中だろうが、飛び込むミレーユのなんと男前なことか。守られるだけの存在になるより、守ってあげたいとして、決して曲げない思いが、とてもよかった。
そんな中、リヒャルトもまた動き始めて、王宮内のうさんくさい出来事の詳細がアカされていき、時に衝撃的な事実などもありましたが、それはそれとして(おい)、今回一番心を持っていかれたのは、恋愛要素でしょう。
ミレーユに危険が迫ったことで、いつになく必死なリヒャルトをみられて、きゃーきゃー思ってましたが、一度開き直ったら、もっとすごかった。なんだ、あの甘さ全開の押しっぷりは!
ああいう言葉と照れもなく言えるあたりが、素晴らしいです。
一方のミレーユは落ち着かないことこの上ないようですが、逆に思いを自覚したようですね。ひとりドキドキする様子がとても可愛いったらないです。……でもね、なんでそこで、そういう考え方をするかな。素直に飛び込んでしまえばいいのに。まあ、これが身分云々ってことなのかもしれない。
好きという思いがあればこそ、彼のために頑張ろうとするミレーユは、ちょっと痛々しいものを感じたりもしますが、二言なく進む姿には痺れました。でも、リヒャルト、ちゃんと追いかけてあげてよ!
ところで、フレッドって人は怒らせると怖いなと思いましたが、ああもあっさり不意を突かれる様を見ると、何か企んでるようにしか思えませんね。彼の思惑はどのあたりにあるのか気になるところです。
ちなみに、気になると言えば、今回一番気になったのは、第五師団団長の勘違いっぷりでしょう。まだ気づいてなかったのかよ!と、ニヤニヤが止まらなかった。最後の最後まで笑わせてくれましたが、いずれ知ったときどういう反応するのか、楽しみでしょうがない。
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