「フレッドの身代わりとして活躍されているそうですわね。素敵だわ。でもそれって、周りに知られたらとってもまずいことなのではないかしら。秘密をばらされたくなければ、もちろん王宮まで案内してくださるわよね?嫌だとおっしゃるなら、ボコボコにしてさしあげますわよ?」
貧乏パン屋の娘であるミレーユが、伯爵家の養子となった双子の兄フレッドの身代わりとして王宮へあがったら、事情を知ってる騎士リヒャルトと共に、いろいろ騒動に巻き込まれるお話の第四弾。
今回は、ミレーユの存在を知られてはならないと言われたグレンデル伯爵の、よりによってその娘であるシャルロットに、身代わりの件を知られてしまい、笑顔で脅迫されながら、彼女のお手伝いをさせられるお話です。
超楽しかった!
なんせ、またまたすごい人が出てきてくれましたからね。可愛らしい笑顔を振りまきながら、ヤキを入れるだのボコるだの過激な発言が飛び出たかと思いきや、手にしてるぬいぐるみに鉄拳をぶち込むんだから驚き。しかも、そんな姿を他の人には見せないんだから、いやはやミレーユも大変だ。
おかげで、シャルロット、リディエンヌが立ち上げる乙女のための劇団に、座長として参加させられちゃうわけですが、ここでのやり取りが、すっごい面白い。
慣れない演技に戸惑うミレーユを、シャルロットがスパルタ教育していくところの雰囲気がいいなあ。恐る恐るシャルロットに接していたミレーユだけど、だんだんと彼女の心のうちが見えてきて、いつしか彼女の恋を応援しようと思える仲になるところが素敵です。
ミレーユが同年代の女の子たちと、いろいろやってるおかげで、やや放っておかれることになったリヒャルトは、ちょっとつまんなそうでしたけど、それでもミレーユとふたりっきりになると、天然なことしてくれて、クーとなります。ドキドキするミレーユが可愛いですが、ミレーユもミレーユで、無意識のうちにリヒャルトをドキドキさせてるから、にやりです。この二人は鈍いくせに、無意識にアピールしまくる似た者同士ですね。
それでも、まだミレーユは、自分の心の内に気づいてないから平気なんだろうけど、だいぶ自分の気持ちがはっきりして、しかも直前までいきながら何度もお預けさせられてるリヒャルトは大変だ。早く、ちゅっ、とやっちゃえばいいのに、とイライラしながらニヤニヤ。
で、劇。
まさか、脚本をあの人に頼むとは思わなかったけど、たしかにあれほど乙女心満載の日記を書いてる人ならできるかも、とは思いつくことではありますね。その彼女が書き上げた物語の素敵なこと。
いや、恋愛もので、主役を演じるのが、男装するミレーユといわれたら、そりゃ男をフレッドに、お相手に自分を投影するのは、わりと自然ですよね。脚本に、さりげなく自分の特徴を入れたり、思い出のシーンを付け加えたりするセシリアの乙女心に、きゅんきゅん。
誰が脚本を書いたのか知っていながら、さりげなくアプローチするフレッドも良かったです。
シャルロットの恋と、セシリアの恋と。どちらもうまくいきそうなだけに、とても良かったなあと思ったんですが、肝心のミレーユとリヒャルトの雲行きが怪しくなってきましたねぇ。いや、どちらもというか、リヒャルトはほぼ確定なんですけど、彼の素性がどうやら、想いを許さないみたい。うーん。
個人的には、ミレーユの言葉どおり、まず言ってみればいいのにと思わなくもないけど、最後の一歩が踏み出せないリヒャルトの気持ちに、はたしてミレーユは気づけるのか。裏でキナ臭い動きが感じられるだけに、気になるばかりです。
身代わり伯爵の決闘
清家 未森
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