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[清家未森] 身代わり伯爵の挑戦

老舗パン屋「オールセン」で行われた後継者争いの勝負に、ミレーユは負けた。失意でうちひしがれていたが、考えてみたら、今までまずいパンをみんなに食べさせてしまっていたのだ。お詫びをせねばとお城へと向かったら、王太子の婚約者の話し相手にさせられ、ようやく抜け出したら、今度はセシリア王女に捕まってしまった。しかも、ひょんなことから彼女の日記を見てしまったが故に、王女の宮へ拉致されて……

貧乏パン屋の娘ミレーユと、伯爵家の養子にいった双子の兄フレッドの親友である騎士リヒャルトの恋愛未満の恋物語。今回は、兄の身代わりとなって王宮へ登城する役目が終わったと思ったら、激しくツンデレな王女様のポエットな日記を見てしまったが故に、王女の監視下に置かれてしまって……というお話。

バラだの妖精だの、まるで童話のような日記の断片を読んだときには、思わず吹き出してしまいました。あー、楽しい。また、そういうのを見つけちゃうミレーユの運のなさが、可哀想で笑えます。「……見たわね……?」という絶対零度なセシリア王女の言葉と、その後の急展開に、ニヤニヤニヤしまくり。おかげで、外で読むのが大変でした。

ミレーユとリヒャルトの仲がどうなっていくのか、興味津々だったんですが、肝心のミレーユが自分の気持ちに気づいてないので、進みそうで進まないじれったさがたまりません。婿を採るかもと言ったミレーユに、全力で反応するほど、心を見せてるリヒャルトの姿をみて、にんまりしてましたが、それすら気づかれないところには、哀れさを覚えるものもあります。笑っちゃうけど。

とまあ、このふたりは、ずっといちゃいちゃしてるからいいとして、今回一番目立ったのは、なんと言ってもセシリアですよね。激しいツンばかり見せていましたが、王道たる「べ、別に」というやりとりを連発してくれたり、時に素直に心情を見せてくれるところは、なんと可愛いことか。
怒ってばかりいる印象が強かったけど、照れていてもなお、周囲のものへの気配りを感じられるところには、なるほど、侍女たちが親愛を見せるわけだと思いましたね。
ふざけているようにみえるけれど、実はまじめに彼女のことを考えているフレッドの姿がよかったです。

それにしても、もうひとりの王女が現れてというところで、王宮の陰謀が見え隠れしてたわけですが、まさかこちら側でも、隠されていたことがあったとは思ってもいませんでした。妹についても、そうきたかと、ちょっと切ないものがありましたが、聖誕祭でのまじないで、ミレーユが相手のことを思って願った言葉が、温かさを持って心にとどまってくれました。うん、やっぱり、彼女は素敵だなあ。

義賊の動きや更なる陰謀が気になりますが、今後も楽しく吹き飛ばして欲しいですね。
あー、楽しかった。

身代わり伯爵の挑戦 (角川ビーンズ文庫 64-3) - 清家 未森

身代わり伯爵の挑戦
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