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[栗原ちひろ] オペラ・アウローラ 君が見る暁の火

東方遠征から一年。世界の情勢はめまぐるしく変わった。遠征の失敗により現皇帝の評判はがた落ちになり、変わってバシュラールの評判が上り調子なのだ。不安定な世界情勢の中、ようやくカナギと会えたミリアンは、自然と寄り添い、嬉しさを噛み締めていたが、ソラのことを尋ねたときのカナギの返答に、悲鳴をあげそうになった。
「ソラ……、あれはお前の空想の人物だろう?」
記憶を失うとは、どれほどの出来事があったのか。悩むミリアンだが、世界はさらに混沌へと導かれていき……

薬師カナギと詩人ソラ、魔導師ミリアンの一行が繰り広げるロードノベルファンタジーの最終巻です。

強烈な引きから、どんな展開が待ち受けているのかと思ったら、記憶を失うとは……。この場合、カナギよりも、事情を知ったミリアンのほうが辛いですよね。それでもカナギを思い、安らぎを与えようとするミリアンの気持ちが、温かかったですね。

今までよりもしっかりとした態度を取るようになりながらも、カナギといると、昔に戻るところとか、とても可愛く、カナギも、記憶のおかげで、ヘタレてるように見えるところがあるんだけど、ミリアンを思う優しさが素敵でした。このふたりの触れ合いから伝わってくる温かさに、じんわり。

一方、帝都の激変っぷりは凄かった。皇帝がああなるとは……。自らを神と思うほど自尊心の高い人だったからこそかもしれませんが、バシュラールぐらいののん気さがあれば、追い詰められる事も無かったろうにと、ちょっと哀しい気持ちにならなくも無い。

そのバシュラールが格好良くなってたなあ。いつもならの軽口を叩いているんだけど、責務を追おうとする覚悟が素敵でした。いつの間にか側にいたラングレーとのコンビにニヤリ。このふたりなら、きっと立派に国を治めてくれると、そう思えるものがありました。

この二人のみならず、シュナルや今まで登場してた脇役達が、傷つきながら、それでも愛する人のために、世界のために、自分の出来ることで立ち向かおうとする姿に、幾度となく心を打たれました。リュリュとデクストラの関係が、特に良かったです。

そして、混沌の海が世界を覆おうとする中、カナギやミリアンが「七賢人」へと入り込むんですが……、まさかここに来て、ソラとの楽しいやり取りが見れるとは思わなかった。世界が危機に瀕しているというのに、何をやってるんだこの二人は。
プッと吹き出した後、今までと変わらぬ二人を見れたことが嬉しくて、思わず涙。

いやあ、素晴らしかった。カナギとミリアンも、最後には自然な行為を見せてくれて、うふふな気持ちになりましたが、ふたりだけじゃなく、最後までがんばった人たち皆の幸せを祈りたくなりましたね。
世界とは、これほどまでに美しいものなのかと感じさせてくれる最終巻に大満足。

オペラ・アウローラ―君が見る暁の火  - 栗原 ちひろ

オペラ・アウローラ―君が見る暁の火
栗原 ちひろ

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