闇魔法協会の総教主が亡くなったという。次代教主を選ぶまでの期間、町の出入り口はすべて封鎖されてしまった。町を出ることができず、さらに儀式にはミリアンも呼ばれているという。彼女の身に何かあってはと、カナギとソラは、何とか儀式に潜りこんでみたが、籤によって選ばれた次代当主は、その瞬間に倒れて亡くなり……
呪いを解くために、宿敵から逃れるために、師を見つけるために、薬師カナギと詩人ソラ、魔導師ミリアン一行が旅する異世界ロードノベルファンタジーの第四弾。今回は、前作から続く、闇魔法協会内でのお話に決着がつくお話です。
初っ端からミリアンの秘密が見えたりして、光と闇の関係に興味を惹かれましたが、それより何より、今回一番印象に残ったのは、ミリアンとカナギの関係に変化が見えたことですね。
ミリアンを膝枕してるソラや、ミリアンにちょっかい出すキラキラ宝石つけてる魔導師リュリュに、苛つくカナギの姿にニヤリにやりですよ。ミリアンも、ソラといるときは安らぎを感じるのに、カナギのこととなると、普段とは違った心情を見せてくれて、あー、いいですねぇ。
そんな中、「みなを守る」ことができなくなかったら、自分という存在は必要ないんじゃないかと思い込んでしまうミリアンには、切なくなったなあ。そう思ってしまうのは、役に立ちたいという気持ちが生まれたからなんでしょうね。そんな心配はいらないのにと言ってあげたくなる。というより、ソラやカナギに、言ってあげてと、言いたくなりました。
もっとはやく彼女の思いに気づいてあげれば……というのは、贅沢だとは思うけど、お互いの気持ちがうっすら見えるだけに、もどかしい限り。
そのお相手となるカナギを留めていたのは、過去の出来事だったわけですが、それは彼の強さの源でもあったけど、それだけじゃなかったということに気づかされました。あのラストシーンで。
悲しくないわけがない。でも、それを感じる心を閉ざさなければ、戦ってこれなかった。生きてこれなかった。
かつて、守りたいと思ったものを守れなかった自分が、再び守りたいと思う存在と出会えたという思いに触れたとき、ほんと涙が止まらなかったです。
「本当に ― ひとはときたま、喩えようもなく美しい」
詩人の言葉に号泣。
いやあ、面白かった。こんな素敵なラブストーリィ(といって良いよね?)が見れるとは予想だにしてませんでした。
恋愛方面だけじゃなく、世界の秘密みたいなものが見えたりして、これがまた興味を掻き立ててくれるんだ、これが。崩壊した闇とて、そのままでいるわけじゃないだろうし、光魔法方面や、さらには巡査庁の動きなど、様々なものが入り組んできてるから、たまりません。
あのラストを考えたら、次は帝国内で大きな騒動が生まれてくるんでしょうね。カナギがあのまま放置するわけないだろうから、さて、彼らの未来がどうなっていくのか、大いに気になるところ。
個人的には、バシュラールとシュナルの関係もきゅんきゅんしてるんですが、こちらもどうなるのか楽しみ。
オペラ・エリーゾ 暗き楽園の設計者
栗原 ちひろ
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