古き闇魔導師カエキリアが、500年のときを経ても未だ存命しているという『カエキリア』を次なる巡礼地と決めたカナギは、詐欺師と暗殺者と共に、旅へ出ることにした。
だが、カエキリアへと向かうソリに乗り込んだとき、自分の不幸を呪わざるを得なかった。そこには、先日、何者かに追われてカナギに助けを求めていた女性が乗り込んでいたのだ……
腕はあっても病弱なカナギと、正体不明な詩人ソラ、類稀な魔法の腕に目覚めたばかりのミリアンの三人旅シリーズの第二弾。今回は、不死を得たと言われる魔導師・カエキリアの領地へと向かうお話です。
いやあ、ソラが詐欺師過ぎるったらないですね。さいころで五十二連勝って、どんな運の強さですか。当然のごとく火の粉が降りかかってくるんですが、受けるのはなぜかカナギだというところに、三人の関係が見えてとれますね。さわやかに巻き込む詩人と、素直に回避するミリアンと、被害を受けるカナギのやり取りに笑いまくりでした。
そんな三人がカエキリアを目指すんですが、旅の途中や目的地で、得体の知れないソラの寂しさみたいなものが見えたのは、印象深かったですね。本人が語っているわけでもないのに、共に旅するミリアンやカナギが、ふと、ソラに対してそう感じるときがあるんですよね。放っておけないのとは違う気がするんだけど、頼りになるのに何か欠けてるものがあるように思えるから、気づけば構っちゃうんだろうなあ。
そんな詩人が、魔導師の領地で、カエキリアを引っ張り出すために、はったりをかます姿は、もはや詐欺でしかないと思いましたが、ここでは、ミリアンが、今までにない方面に心を伸ばしたところが印象的でした。温かさを伝えることができる自分に気づいたのは、力に怯えていた彼女にとって、とても大きなものだったんじゃないかと思います。
こういった気持ちの変化があったからこそ、不死者について知りえたことを、カナギに言えなくなったんだろうなあ。人に対する思いやりを持つと、どうしても遠慮みたいなものも出てきてしまいますよね。
カナギを心配する様子を見ていたら、詩人に対して見せていた好意のようなものは、どちらかといったら懐いているといったほうがいいのかなと、思うようになりました。さてさて、まだ安定しない彼女の思いは如何に?
一方のカナギにも変化がありましたね。取り返しがつかないということを恐れるようになるとは、ちょっと意外でもあり、でも彼は薬師だったなと思うと、ある意味当然だとも思えました。
そんなカナギがひっぱりあげてきた「真実」は、大きな衝撃をもたらしましたが、この不死者のお話よりも、さらに大きな衝撃がラストに待ち受けてるとは思いませんでした。いや、得体の知れなさから、何か隠してるとは思ってましたが、そっち方面に来たか。ってことは、カナギの目的についてもある程度、どういう結果をもたらすかとか、想像できてるのかなあ。うーん。
ミリアンが不死者と対峙したときに感じたことが、どこまで本当のことなのかわからないだけに、今後どうなっていくのか気になりますね。
オペラ・カンタンテ 静寂の歌い手 (角川ビーンズ文庫)
栗原 ちひろ
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