「ミリセント・ファネル様。貴方は、本日十六歳を迎えられました。よってファネル家の遺産を受け継ぐ権利を得られたことをお伝えいたします。ただちにお屋敷においでください」
「物に触れると、その物の過去の時間を見ることが出来る」力があることから、鑑定の仕事を続けてきた孤児のミリセントが、十六歳の誕生日を迎えたら、ファネル家の令嬢であることを知らされたものの、そのお屋敷はなんと幽霊屋敷で……というお話。
これは楽しかった。突然、連れて行かれた先が幽霊屋敷だっていうハプニングもさることながら、幽霊を目の当たりにしても、なんとなく乗り切ってしまうミリセントの大らかさが良かったです。まあ、怖い存在もいるけれど、姿が見えないけど着付けを手伝ってくれるような存在もいたりして、何となくいい雰囲気だってのもありますけど。
執事さんも優しくて素敵なのに……というのは、ちょっと残念かもしれない。でも、何気に役立ってない気もするので(ひどい)いいか。
で、鑑定人としてのお仕事として、王家御用達の美術品を扱う伯爵家・マクラミリアンの次男・グレンが、とある姿見の鏡を持ち込んでくるんですが、眺めていると中から人がのぞいてきたり、写ってる人の不吉な姿を映したりするような曰くつき。これをどうにかしたいと、二人で奮闘していくうちに、ちょっとずつ二人の距離が近くなっていくのはいいですねぇ。
幽霊とか、目に見えない存在を認めようとしないグレンなので、幽霊屋敷では滑稽なところを見せてくれたりするんだけど、ミリセントがピンチになるとしっかりと守ってくれるからねぇ。ようやくお屋敷に当主として認められるようになったミリセントが持つ『薔薇封じ』と、グレンの手に渡った『薔薇の騎士』の関係が、非常に気になるところ。
今後もこの幽霊屋敷じゃないと解決できないようなトラブルが舞い込んでくるのかな?楽しみですね。
ミリセントと薔薇の約束 幽霊屋敷の優雅な執事 (角川ビーンズ文庫 (BB55-9))
月本 ナシオ
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