「そう言えば、この前は薔薇もありがとう。あれも美味しかったわ」
「美味しかったって……あなた、あれ食べたの!?」
「うん。え、だって、薔薇って食べられるでしょ?ベリーと一緒にジャムにしてもらったの。……なんかまずかった?」
「まずいも何も、あれは飾りよ!」
貧困生活から一転して伯爵家を継ぐことになったアネットが、有能で美形だけどちょっとスパルタな執事リチャードの教えで、お嬢様になるべく頑張るお話の第四弾。今回は、アネットの耳に、旧王家の王子がロンドン塔にとらわれているという噂が入ってきて……というお話です。
過去を隠してるリチャードの噂が耳に入ってしまったら、そりゃ放っておけなくなるよなあ。誰かに知られたら、リチャードと離れなければならなくなるかもしれないわけだし。にもかかわらず、冷たいリチャードですが、まあ、彼からしたら巻き込みたくないという思いがあるわけで、まったく、じれったいったらない。
そんなつれないリチャードとは違い、前作で知り合ったツンデレブラコン娘・シャーリーとは、いい仲になってましたね。はじめは誤解からちょっとむくれさせてしまいましたが、いつの間にやら、社交界でいじめられるアネットを助けるほどになってくれるんだからニヤニヤです。ああ、ほんとこのふたりのやり取りは楽しかった。
今回アネットをドキドキさせてくれたのは、リチャードよりも(いや、あの靴のシーンはよかったけどね!)、王太子でしたね。ロンドン塔の噂を探るために、王太子に協力したら、なんて意味深な接近の仕方をしてくるんでしょう。
彼にそういう気はないかもしれないけれど……、あー、でも、アネットの様子から何か気づいてしまうかもしないなあ。いろいろな意味で、気になる人になってしまうかもしれない。まあ、それでも、ひとまず一件落着……なんて思ってたら、リチャード、なぜそっちに……!
もう少しお互い話し合えれば、と思えるすれ違いか寂しいですが、ここからどうなっていくのか、続きが待ち遠しいです。
アネットと秘密の指輪 お嬢様とロンドン塔の王子 (角川ビーンズ文庫)
雨川 恵
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