「君次第だよ、ミス・アネット。もし君にその気があれば、リチャードが、必要なことは何でも教えてくれるだろう。もちろん、彼が気に入らないなら止めてもいいよ」
「き、気に入らないなんてそんなこと!」
アネットは慌てて声を張り上げた。急に頬が熱くなるのを感じる。
― いつでも、側に?
いつか迎えがくるから ― 父の言葉を信じて待ち続けた母が亡くなり、貧困の中、どうやって生活していこうかと悩んでいたアネットの前に、彼女をお嬢様と呼ぶ執事が現れて……という、シンデレラストーリィみたいな感じでお話が始まるんですが、いやあ、楽しかった!
なんといってもまっすぐなアネットが魅力的で。いきなり伯爵家の跡継ぎだったとか言われて混乱しつつも、決して自らを卑下たりせず、時に相手を言い負かすぐらい元気な姿が、とてもいい。
まあ、その分、上品な振る舞いとかはできないんですが、そんな彼女を淑女に育てようと、執事のリチャードが手を貸すところから生まれてくる恋愛要素に、ニマニマしちゃう。なんせ、貧困時代にリチャードに助けられた恩があることから、アネットは彼のことを王子様のように思ってるので、隠しつつも隠し切れない好意が見えるんですよね。
はじめは、その気があるのかはっきりしないリチャードも、実は……じゃね?みたいな様子がところどころ見えたりして、お嬢様と執事の距離感を保ちつつも、それ以上のものが見えてくるところが、すっごい好きだなあ。
お家騒動なところもあるので、アネットの味方はそれほど多くないんですが、弁護士のユージンもまた、アネットを気に入ってますよねぇ。初めは仕事だからという感じでかまってただけなのに、だんだんと彼女を認めていくところが、なんか楽しく思えるのは、彼の子供っぽさが見えるからかな。キレ味するどいところもってるのに、良いギャップじゃないですか。
いやあ、面白かった。オーソドックスなお話だと思うんだけど、一気に読まされるものがありました。お堅いリチャードとお軽いユージンに見守られながら、アネットが伯爵として、これからどう振舞っていくのかを考えると、とても楽しみですね。
もちろん、アネットの恋心も注目です。
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