自分を襲ったのはいったい誰か。今までは、アダルシャンの貴族かと思っていたが、よくよく考えてみれば、ここは隣国カストリアの付近でもある。ひょっとしたら……?そのことに思い当たったアレクシードは、カストリアの目的がわかってしまった。防ぐにはユティをこの手に取り戻すしかない。政治目的で、連れまわされる彼女のことを思うと辛くなるが、アレクシードは、カジャと共にカストリアの帝都へと向かい……
奪われたユティを取り戻すために、アレクシードが隠密で動くお話。隠密といいつつ、かなり目立ってましたけど。
ともあれ、アレクを狙い、ユティを連れ去ったのがカストリアの人なら、相手の狙いは誰でもわかるとおり、アダルジャンとの戦争しかない。だからといって、単身でカストリアに乗り込もうとするところが、素敵にアレクらしい。下手したら全面戦争になりかねないというのに。ま、そこがいいところでもあるけど。
カジャと一緒にいったおかげで、妙なことに巻き込まれてましたが、本人が意識しないうちに、いろいろ巻き込まれてしまうところもアレクらしくて楽しい。
一方のユティは、自分の現状に不満を抱き、じゃあどうすればいいかと考えて動くところは、やはり子供と侮れないところです。単純ではあるんですが、物事の本質をついてくるのがうまいのは、己の黒い感情に捕らわれない心の強さがあるからでしょうね。時に涙を流すことがあっても、まっすぐな感情と眼差しは、やっぱりいいですよ。
自体の大きさを知って、自分が何とかせねばと思いつつも、たぶん、ユティでもひとりでは、ここまで覚悟を決められなかったんじゃないかなあと思いました。やはり側にセオがいたというのは大きいでしょうね。っていうか、セオおまいは何てことしてくれるんだ……。まさか、ユティもセオを……とか思って、すんごいドキドキさせられました。
ちなみに、年上の兄ルドヴィクスとユティのやりあう姿は、アレクとのやり取りを思い出してしまい、思わずにやり。
無事カストリアの皇宮に乗り込んだアレクが、ユティと出会えるかどうかについては、ハラハラでしたが、ユティの姉さんたちの行動がまたピタッとハマってくれて楽しい限り。
それにしてもまさか、こんなラストを迎えるとは思わなかった。「卒業」でくるとは!ふたりの息の合ったやり取りを見ていると、ほんと嬉しくなってしまいますが、何気にセオも一緒になるのか。ううむ、これは男の嫉妬大会が見れそうな予感。
それよりなにより、あの人がアダルシャンの皇帝と出会ってしまったか……こっちも気になりますが、次で最終巻ですか。いや、まさにそんな盛り上がり方ですね。どのような結末を迎えるのかわかりませんが、できれば全員がハッピーになってくれる道を選んでほしいですね。
さ、その前に短編集だ。
シェーンベルムの騎士
雨川 恵
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