アダルシャンとカストリアの国境付近であるバルハール近辺に、カストリアの皇太子が視察に来るという。おそらくはアダルシャンへの示威行為だろうということで、自分たちには無関係だと思っていたアレクシードの元に手紙が届いた。国王である兄ユーゼリクスからの手紙には、カストリア帝国皇太子ルシウスが、帝国西部巡覧の場で、実妹のユスティニアと夫であるアレクシードを招待したいと言ってきて……
自分の腕の中にいる少女が他の騎士を褒めていたら、気分が良くないのは分かりますが、大人気ないぞ、アレク。前作に引き続き、ユティの本人無自覚な言葉に何かと傷つき、思わず反論というか、口答えしてしまうアレクが、情けなくも思える。ま、そこが素直でいいとも言えるけど。
アレクの嫉妬に気づかず、不貞腐れたユティでしたが、ショックの受け方がいつもより変わってるところが、ちょっと印象的。今までのように、構ってくれる人だからという好意ではなく、相手のことを知りたいと思い始めていくところは良かったですね。おんぶで仲良しイベントが、素敵でした。
ここまでは、いつもどおりの微笑ましきお話でしたが、中盤からは動き出しましたねぇ。ユティの兄カストリア帝国皇太子ルシウスが接触してくるってことで、何があるのかと思ってましたが、まさかこんな手段を使ってくるとは思いませんでした。
ユティが初めてアダルシャンに来たときは、敵意しか見せてなかったけど、あれがカストリアのアダルシャンに対する普通の姿勢だとしたら、ルシウスの行動もわかりますね。平和に暮らしていたアレクとユティが、こんな形で引き裂かれてしまうとは思いませんでした。
嬉しい再会があったユティでしたが、アレクについて分かり合うことができない悔しさが伝わってきます。
再会といえば、アレクの方でも嬉しい再会がありましたね。てっきり敵となるのかと思ったけど、あの森の内情からすると……といろいろ考えるところがありますが、きっと力になってくれるでしょう。
もうひとりとの再会は、アレクの複雑な心境が伝わってきたなあ。憎みたくとも憎めない人ですが、ある意味、もうひとりの兄としての思いもあるんじゃないかという気がしてきた。
自分で自分を傷つけてしまうことが多いアレクですが、周囲にいい人がいるおかげで、大きな傷を負うことなく、前を向けるんですね。
さて、今回の件で、二国の間に緊張が走ると思いますが、ここからアレクはどう動くのか、ユーゼリクスにもそろそろ出番あっていいんじゃないの?とか、気になることばかり。続編が楽しみです。
カストレーデの皇子
雨川 恵
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