いよいよ時が来た、と思っていたが、南の隣国ブラウクレント選王国との戦争は、宣戦せず、相手が仕掛けてきてから、こちらが反撃するという形式を取ることにしたらしい。兄である国王ユーゼリクスが何を考えているかわからないが、アレクシードは言われたことをするまでだ。
だが、心残りなことはある。三日後には戦地に向かわねばならないのに、未だ妻であるユスティニア姫にそのことを告げておらず……
グラーレンに向かうことを告げたアレクシードとユティの間に亀裂が入って……というお話ですが、言いにくい気持ちはわかりますよね。相手はまだ子供ということもあるし、もしかすると帰ってこれないかもしれないのですから。
というわけで、アレクシードとユティが、初めて離れることになったわけですが、アレクシードがユティを思い出すときの空気が、とても温かくていいなあ。肌のぬくもりを思い出して、一緒にいるときは面倒だと思っていたことでも、離れているとそのことばかり思い出す気持ちが伝わってきます。
特に温かさを感じたのは、アレクシードがユティからの手紙を読むシーンですね。文面からユティの素振りを感じて微笑んだり、友達ができたらしいことを嬉しく思ったり、何より最後の結びの言葉で、自分を待っていてくれる人がいることを実感するところが素敵でした。
ああ、早く帰ってあげてほしいなあと思って読んでいたら、まさかまさかそんなことが起こるとは!いや、王太后の話を聞いたときにはピンときたんですが、それについて、ユーゼリクスが動くとは思わなかったんですよ。アレクシードの気持ちはわかっているだろうに、それでも動かざるをえないのか、それともまた別の思惑があるのかわかりませんが、辛いなあ。
アレクシードも、自身について大きな出来事がありましたが、これは……どうなるんだろう。いや、普通に考えれば、元の鞘に納まると思いますが、なまじ地位があるだけに、他の人が扇動したら、大きな動きになるかも……、なんて不安もあります。場所が場所だけに、他国の介入もありえるかもしれませんし。続きが非常に気になりますね。
グラーレンの逆臣
雨川 恵
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