極寒の冬を迎え、雪に包まれたアダルシャンを最も喜んだのは、ユスティニアだった。だが、この雪が無くなれば、隣国であるブラウクレントと相対する可能性が高い。ユティとのことも、戦争を見越してのことだったのだろうと、先見の明に改めて、感心していたアレクシードだが、そんなある日、国王が倒れたという知らせが届き……
ユーゼリクスが倒れたことで、アレクシードの周囲が一変してくるお話です。近衛軍の長であるサーマイルが亡くなったのは、アレクシードが原因であるという悪評に、身分卑しき出生という偏見も加わって、周囲の目があまり芳しくないところに、王位継承権争いが絡んでくるということで、アレクシードからしたら、ある意味、自分と関係ないところで苦労をしなきゃいけないお話でしたね。
個人的には、ユティとアレクシードの仲がどうなっていくのかとワクワクしてたんですが、そっち方面の話があまりなかったのは残念です。とはいえ、ところどころで、ふたりの微笑ましいやり取りが見れるので嬉しいですけど。
個人的に印象に残っているのは、ユティが貴族のお嬢様ファーナとケンカをしたときの話ですね。時期が時期だけに面倒ごとをと思って憂鬱になっていたアレクシードでしたが、その理由を知って心のトゲのようなものが無くなっていったところに、とても温かいものを感じました。きっと、味方が少ない今、自分を思ってくれる人がいるという支えがあることは、本当に頼もしかったんだと思います。また、そんな人が側にいてくれたことも感謝したくなったんだろうなあ。このシーンはホント良かったです。
それにしても、アレクシードって、モテるのかしら?ファーナの態度を見ていると、ユティに対しては、アレクシードの妻という意味での嫉妬みたいなものがあったのかなーと思いますね。今回の件で角が取れたかもしれないから、ひょっとしたら、ファーナとユティはいいお友達になれるかも、なんて甘いかしら。
ごめんなさいと言って、ギュってするところが、たまらなかったです。あー、いいわー。
相変わらずユーゼリクスは、アレクシードに冷たいですが、実は弟を思っての行動だとわかってくると、温かさを感じますよねぇ。まあ、言葉が足りないから、逆にアレクシードが突っ走っちゃうんですけど。
すれ違いながらも絆を感じさせてくれる不器用な兄弟が素敵です。
お話としては、ちょっと短いかなーと思わなくもなかったですが、面白かったですね……っていうか、最後に微笑ましく終わるのかと思ったら、最後の一文で強烈にインパクト与えてくれて、どうしてくれよう。
ここからどういう展開になっていくのか、とても楽しみになってきましたね。
ハルシフォンの英雄
雨川 恵
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