「父様……?」
「本当はね、どんなことでも、悩みぬいて出した答えに、間違っていることは何もないんだよ。自分の心に反することであっても、たとえその結果がどうであってもね。だが楽な選択は必ず自分に返ってくる。……忘れないで。君は今までいつだって悩んで答えを出してきた。私はそれを見てきた。それが誰に否定されても、私だけは君のすべてを肯定するよ」
吏部尚書の解任により調停が騒然とする中、絳攸の処分を巡る御史大獄が開かれ、秀麗が躍起になって弁護する間に、紅家に不穏が動きが発覚して……というお話。
いっきに面白くなってきました!
絳攸のために清雅に立ち向かう秀麗は、甘いところがあっても人を惹きつけるものがあります。恐怖で人を抑える御吏台にあって、人の思いを繋げて支えあっていく関係を作っていくんだから、素晴らしい。決して甘いだけでなく、間違ったことにはピシャりとするあたりをみたら、信頼を預ける気持ちにもなりますね。まあ、あんな一直線な心意気を見せられたら、つい後を追いたくなるってもんです。下士官たちが時折見せる「秀麗のために」という思いには、じわっとくるものがある。
そんな秀麗の頑張りを見てるだけに、最悪の選択をする劉輝にもう……。そりゃね、旺季が次々と手を打っていくおかげで、評判がどんどん傾いて、あせる気持ちはわからんでもないけど、あまりにもヘタれすぎです。今まで甘やかされてたんだなあというのがよくわかる。
僕の中では、劉輝の株が急降下しましたが代わりに急上昇したのが清雅です。朝廷内のみならず、民の懐にまで影響を与えかねない事態を引き起こした紅家の問題にふたりで対応したときの秀麗への態度は、強引で、陰険で、でも僅かに優しさがあって。清雅自身は絶対認めないだろうけれど、いくら切り抜けるためとはいえ、演技としてあんなことを言い出すあたり、秀麗を認める気持ちはありますよね。もうニヤニヤが止まらない!
とまあそのあたりはいいとして、そもそも、紅家が大変な事態を引き起こすといっても、当主である黎深がそんなことするわけはなく、ではいったい何がおきてるだろうという謎が見えてくる展開が面白い。裏で動いていた人の思いが、ただ単純なものであるならまだしも……「とらわれる」の意味がわかる気がします。
何にせよ、朝廷内が騒然となる中、劉輝の決断を秀麗が認めてしまうのは、それ以外にないとわかってしまうからなんだろうなあ。長い目で見れば愚かという選択でも、ここでは間違いなく最善の手だし。でも、秀麗には、ここで紅家の女の覚悟を使ってほしくなかったよ。
それでも、それでも、邵可が立ち上がってくれたから、まだギリギリのところでいるんじゃないかなと思うのは、甘いかしら。あのときのおとーさんは、しびれるぐらい恰好よかった。これで少しは時が稼げるだろうし、何とかみなが幸せになる方法を探してほしいところです。
ただなあ、秀麗の体に起きてる出来事がなあ……。
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