「ところで、わたくしはここでどうやって『気分転換』をすればいいのかしら?セロと街中を遊び歩けばよろしいの?」
無邪気なブランカの眼差しから、セロは目を逸らした。
「『駆け落ちごっこ』だそうだ。
魔王・マルディシオンにかけられた若返りの呪いを解くため、マルアスル王国の姫ブランカが、護衛騎士セロと侍女リリシアを連れて旅をするシリーズの短編集。呪いを掛けられた直後、二人の婚姻、リリアナとブランカの出会い、子供たちの冒険など、五編が収録されています。
楽しかった。ブランカの可愛さが伝わってくるお話しが多かったなー。というか、みんながブランカを可愛がるお話しというか。呪いを掛けられた直後は、気分転換に駆け落ちごっこをさせるリリアナの思いやりと、本当に連れ去りたいという思いを抱えながら支えるセロ、そしてセロの側で真っ赤になるブランカと、切なさを感じさせながらぽかぽかするお話しから始まり、出先でちっちゃな男の子にブスと言われたときのお話しでは、子供相手に向きになるセロとリリアナが……うん、きっと彼は今後その言葉を使えなくなったんじゃないかと笑い。
一番印象に残ったのは、二人が結婚するときのお話「終幕のデクララルセ」かな。まさかマリッジブルーをセロの方が抱えるとは思わなかったけれど、それだけ王家とは彼にとって重いものだったのでしょう。でも、それはブランカの思いを踏みにじることでもあるんですよね。目覚めさせるリリアナの拳は、もしかしたら魔物よりもきつかったかもしれないんじゃないかしらとニヤニヤ。ま、なんだかんだいっても、ブランカの前に立ったら、愛する思いがだだ漏れでしたけどね。ほほを染めるブランカの可愛さといったらないです。
そんなこんなでブランカ中心のお話もよかったけれど、子供たちのお話しも良かった。ブランカの子供のアスセーナと、リリアナの子供ティアが、お城まで冒険する「再幕のバイレ」は、子供らしい無邪気さと無謀さが見られつつ、親に似てるところもあって、ニヤニヤさせられる。しかも、彼女たちについていったマルが……いや、これはアスセーナが惚れるのも無理ないわ。娘の初恋をおとーさんがどうするのか興味津々です。
いやー楽しかった可愛かった。子供たちのお話しはもっと読みたかったので、これで終わりというのが残念でなりませんが、次なるシリーズを楽しみに待っていたいと思います。
白と黒のバイレ 鳴らせ、再幕のブレリア (角川ビーンズ文庫 44-20)
瑞山 いつき
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