いとこどのの結婚にショックを受けていたアイオリアだが、さらに衝撃的なことがおきた。第一寵妃であるオクタヴィアンが「花」である栄誉を返上したいと言い出したのだ。何としても引きとめたいアイオリアは、交換条件を申し出た。アイオリアが勝ったら引退をさせない、負けたらオクタヴィアンの願いどおり、アイオリアの花園に「男」を入れると。そして、王宮すべてを巻き込んだかくれんぼうが始まって……
三日間、アイオリアがオニに見つからなかったら、後宮に「男」を入れるという勝負を描いた遠征王シリーズ番外編。いくらなんでも、かくれんぼうな番外編だとは思わなかったけど、それはそれ。オクタヴィアンとしては、女王が男を苦手としていることは、やっぱり不安だったんでしょうね。甘えるのがうまいようで、実は不器用なアイオリアのために、という心遣いはよくわかりますが、何ですか、その「アイオリア様に乙女になっていただこう計画」って。
これだけでも笑いましたが、男の愛人話が王宮中に知れ渡ってしまって、さらに「始めに女王を見つけた人が、花園入り」なんて話になってしまってからは、もう楽しくて楽しくて。「私もアイオリア様の花園に入り隊」とか、「柱の陰」会とか、暴走しすぎです、高殿さん。
寵愛を受けているクラウディアとかも、お嬢様な姿をかなぐり捨てて楽しい限り。一番面白かったのは、男を迎えるかもしれないという噂に、悶絶するナリスでしたけど。さっさとおまえが動けばいいのに……。いくじなし。
騒ぎの中心だったアイオリアは、ひとりシリアスなことしてましたが、この時期に自分を見つめなおす時間があったのは良かったんでしょうね。弱さを見つめ、そこから逃げないことを決意したアイオリアが素敵でした。
いや、一番素敵なのは、衣装を繕う人のことまで、忘れなかったことですけど。きっと、小さな頃にお世話になったことや、竜を刺繍してもらったこととか、全部覚えていたんでしょうね。小粋な演出にグッとさせられるものがありました。やっぱ、カッコいいよ、アイオリア。
最後の最後は、最終巻と同じ流れでしたけど、わかっていてもやられました。ゲルトルードは、きっといつまでも、いとこどのと呼ばれたかったんだろうなあ。いろいろな思いを感じた最後でした。この魅力的な人たちとも、これで最後だと思うと名残惜しいですが、素敵な物語をありがとうといいたいですね。
遠征王と秘密の花園
高殿 円
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