Home > ライトノベル > [高殿円] 運命よ、その血杯を仰げ 遠征王と隻腕の銀騎士

[高殿円] 運命よ、その血杯を仰げ 遠征王と隻腕の銀騎士

囚われたまま肌を合わせる日々が続く。いつしか彼に対して、淡い気持ちが生まれてきたが、そんな時、ホークランドの皇女が訪れてきた。ミルザと結婚し、お腹に子を宿しているフランシアが。彼女の決意に心打たれたアイオリアだが、そんなおりにホークランドの皇太子殿下が亡くなり、アイオリアとミルザはホークランドを離れて……

ついに迎えた最終巻。ミルザの悲劇とパルメニアの女王の決断が描かれるお話です。

ああ、やっぱりと思ったのは、アイオリアがミルザへ感情移入してしまうところですね。優しすぎる彼女が、あの過去を共にした人を見捨てることができないのは明々白々だったから、堕ちていくような感じのところは、辛かったなあ。ミルザ自身もわかっていたからこそ、ああいう決断をしたんでしょうね。最後の最後まで、彼はアイオリアのことを思っていたことがわかるシーンに、じわりとくるものがありました。

おかげで、アイオリアとしては、呪縛から解かれることができたわけですが、個人的にはもう一人呪縛されていたナリスがどうなっていくのか気になっていました。大切なものと、そのままであったならば苦しみの種になったかもしれないものから逃れる事ができたのは、後から考えると、むしろ、ナリスとアイオリアを思っての行動に見えまたが、ナリスからしたらやっぱり辛いよなあ。ううむ。
ともあれ、これでタイトルどおりのことになったわけか。

中盤からは、何ていうか、最終巻の最終章みたいな流れがずっと続いてましたね。誰かさんに子供ができたり、誰かさんが求婚したり、壁のあった姉弟が手を取り合ったりなどなど、平和な笑いなどが見えて(コック軍団のカモ話は爆笑でした)、楽しいんだけど、どこかに不安みたいなのが流れてて、落ち着かない状態だったのは、アイオリアが後始末っぽいことをしていたからかな。

たぶん、これから自分はどうしていくべきか、いろいろ迷ったんだと思いますが、キップリンの卵について、見知らぬ少女と言葉を交わしたときに、本当の意味で決意したんでしょうね。最後の遠征は、意表を突きつつ、それでいてアイオリアらしいものでした。

もうね、最後がほんと涙が出てくらい、幸せな空気と、切ないものを感じましたよ。彼女のために生き、彼女のものを守って、ついに永遠の眠りについた女性は、きっと幸せだったと思います。彼女の最後の言葉と孫の一言に、涙が……。

いやあ、ほんと良かったです。シリーズ当初はどんな軽い話になるのかと思いましたが、話が進むにつれてシリアス度がまして、胸の中に切なくも温かいものを残してくれました。パルメニアに遠征王あり、ですね。
まだ遠征王シリーズでは、番外編が残っているので、楽しみにしたいと思います。

運命よ、その血杯を仰げ―遠征王と隻腕の銀騎士 - 高殿 円

運命よ、その血杯を仰げ―遠征王と隻腕の銀騎士
高殿 円

角川書店(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[高殿円] [遠征王シリーズ感想一覧] [角川ビーンズ文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [高殿円] 運命よ、その血杯を仰げ 遠征王と隻腕の銀騎士

Trackback:0

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/1787
Listed below are links to weblogs that reference
[高殿円] 運命よ、その血杯を仰げ 遠征王と隻腕の銀騎士 from booklines.net

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [高殿円] 運命よ、その血杯を仰げ 遠征王と隻腕の銀騎士

Search
お気に入り

左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下


わくわくするような大冒険がしてみたいな

時載りリンネ! 1 (1) (角川スニーカー文庫 203-1)時載りリンネ! 2 (2) (角川スニーカー文庫 203-2)

本を読むことで、滋養と時を操る力を得る「時載り」一族。読書よりも遊ぶことのほうが大好きという、おしゃまな女の子・時載りのリンネと、彼女に振り回される男の子・久高が繰り広げる冒険物語。どの年代の人が読んでも楽しめる最高のジュブナイルです。→感想


十八番目の皇女という立場から、何も手にすることができなかった月華が、心の内に「龍」を飼う涼狐の剣舞に惚れて、剣を手にする中華風ファンタジーのボーイ・ミーツ・ガール。

DRAGONBUSTER 1 (1) (電撃文庫 あ 8-13 龍盤七朝)

淡々と語られている物語だと思っていたのに、気づけば引き込まれています。溜め込んだエネルギーが、次なる巻で爆発してくれることでしょう。背筋がゾクゾクするほど、楽しみでなりません。→感想

なかのひと

Page Top