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[高殿円] 尾のない蠍 遠征王と流浪の公子

ボッカサリアは貧しい国だった。頼みの綱の銀鉱も底をつき始め、借金を返すあてもない。このままでは国庫が破綻してしまうと考えた王太子ルキウスは、裕福な国と姻戚関係を結んで援助を受けるしかないとして、出戻りとされるパルメニアのアイオリアに求婚すべく戴冠式を開いた。一方、星山庁からのとある通達を受けて、荒んでいたアイオリアは、ナリスとの間に壁を作ったまま、ボッカサリアに向かい……

国の借金をどうにかしようと、ポッカサリアの王太子ルキウスが戴冠式にかこつけて、アイオリアというかパルメニアと姻戚関係を結ぼうとするお話ですが、まだまだ少年なルキウスが頑張る姿がいいですね。はじめは義務感からアイオリアと対面していたのに、話し合うにつれて、アイオリアの見識の深さと優しさに惹かれていく姿が、なんとも言えないぐらいいいです。憧れのお姉さんに恋をする感じが伝わってきますね。

アイオリアも、自身の辛い経験があるからか、必要以上にルキウスに対して、優しかった気がします。ひょっとしたら、弟のように思えたのかもしれませんね。この二人のやり取りは、恋愛要素とか抜きにしてよかったです。

そんなアイオリアが未だ心に留めているミルザとのやり取りは、切なくなりましたね。舞踏会での踊りひとつで、アイオリアの揺れる気持ちが、とても伝わってきました。国の思惑で出会ったふたりが、国の思惑で引き裂かれてしまった経緯に胸が痛いです。

彼女の強さと弱さが見えたお話でしたが、胸に痛いといえば、ナリスのほうがきついかも。パルメニアの策略によって滅んだシレジアから無事抜け出すためとはいえ、これほどの覚悟をしていたとは……。絆を超えるものを貫くほど、相手を思っているのに、イオリアの幸せを自分の手で作り上げることができない状況の残酷さが響きます。
ちなみに、いつものように、ジャックとガイだけはアイオリアについてきたけど、告解シーンで爆笑を振りまいただけで、特に何をするでもなかったのが残念。

さて、次が最終巻だそうです。普段は傲慢に見えても、何かと繊細なアイオリアなので、体と心を傷つけられることとなったあと、いったいどうなっていくんでしょう。不安だなあ。ミルザも過去に囚われている感じがあるし。このふたりが……ってのは無いと思うんだけど、どういう結末を迎えるのか、気になりますね。

尾のない蠍―遠征王と流浪の公子 - 高殿 円

尾のない蠍―遠征王と流浪の公子
高殿 円

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