国王の誕生日に開かれた夜会で、ゲルトルードが衝撃的な発言をした。なんと、退廃を好むロゼッティ家のアーシュレイ伯爵と結婚をすると言い出したのだ!大反対したアイオリアは、ゲルトルードをかけてアーシュレイと決闘をすることになった。暢気な空気が漂うパルメニア国だが、裏ではアイオリアを偽王と叫ぶ反国王派が暗躍し始め、ゲルトルードやアイオリアの愛妾たちを投獄し始めて……
ゲイトルードの結婚話かと思いきや、偽王を討たんとする反国王派が立ち上がって、というお話でしたが、影の存在であったゲイトルードが、前面に出てきましたね。自身の結婚話をはじめとして、あらゆる出来事が彼女の手のひらの上で踊っているかのような、冷酷さと鋭利な思考回路に惚れ惚れ。
今回の騒動のおかげで、ようやくパルメニアにおけるアイオリアの位置付けが見えてきましたね。なるほど、かつてシレジアに向かわされたのは、貴族たちにそういう思惑があったからなのか。幼い子に対するあまりにも残酷な選民思想が心に痛いです。特に、その後、こちらへ戻ってきた道のりのことを考えると……。ナリスも苦労したろうなあ。
なりたくもない国王になって、それでも頼ってくる人のためにと頑張っていたアイオリアの心が切れてしまうところは、気持ちがわかるだけに切ないです。
計算尽くしなゲイトルードの唯一の計算違いが、アイオリアの心情だったわけですが、初めて仮面が崩れたときのゲイトルードが、とても印象的でした。アイオリアが依存しているのかと思っていたんですが、実はゲイトルードのほうが、というところが意外でした。
この二人の関係は、見えてるようで、まだ見えない気もするけど、さて、どうだろう。
反国王派の面々のやり方は、正しいところもありましたが、結局のところ、自分たちが権力を握るためのものでしかなかったので、そこを突かれると弱かったですね。人は血に従うのではなく、人に従う。はったりであっても、自分の言葉を信じさせたアイオリアがかっこよかったです。
最後のシーンを読んだとき、ゲイトルードの思惑を知って、そこまで計算していたのかと驚きましたが、同時に彼女自身、選ばれた血であるところから逃れられないのが、何とも言えない皮肉を感じました。っていうか「史実において―」という一段落に書かれてることが、はたして幸せから生まれたことなのか、それともなのかものすごい気になります。
最後にどうやらミルザがまた新たな手を打ってきたみたいなので、今後彼がパルメニアに対して、どんな手を伸ばしてくるか、楽しみですね。
ドラゴンの角―遠征王と片翼の女王
高殿 円
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