パルメニアの政策をよく思わない星山庁の調停員が、釘を刺しにやってくるというのに、アイオリアは新たな愛妾探しの旅に出てしまった。愛妾探しに付き合わねばならぬことを嘆いていたジャックだが、旅の途中で、ジャックの相棒のガイと出会い、なんと彼に娘がいることを知った。興味を持ったアイオリアは、美人だというガイの娘に会いに、異民族との争いが絶えないルルドへ向かったが……
愛妾探しと見せかけて、他国のきな臭い動きを確認するために、アイオリアがジャックの相棒ガイの故郷へと旅するお話ですが、うーん、いや、つまらないわけじゃないです。むしろ十分面白いです。ただ、何ていうか、チグハグさみたいなのがあって、そのあたりが物足りなかったかなと思った次第。
ルルドの領主と放浪な民エルゴーネの間に確執のあたりが、原因かも知れませんが、そういうところを抜かすと、とても心に来るものがありましたね。カレンとガイの悲しい過去には、グッとさせられるものがありました。
「約束」として引き取った娘のアデラが、二つの民族に挟まれてしまうことになってしまったのは、何とも皮肉なところですが、それでも故郷を思い、いつしか家族ではなく一人の男としてガイを思うようになったところは、良かったですね。特にあの薔薇を渡すシーンは、もうほんと嬉しくなっちゃいましたね。心温まるなんてもんじゃなかったです。
いや、一番良かったのは、王に仕えることをよしとしないガイを手に入れるために、画策するアイオリアですけど。相手の弱みを突いていく嫌らしさは、相変わらず素敵。
ただ、最も印象に残ったのは、ルルド地方での出来事やガイについての話ではなく、アイオリアとミルザの関係でした。ミルザに対するアイオリアの思いには、かなり複雑っぽいですよね。引け目だけじゃなく、それ以外の感情もあるみたいですし、そこにはナリスも関係しているみたい。一体、過去に何があったんだろう。時折見える過去のシーンでの優しさ溢れるやり取りだったのに。
おかげで、だんだんと人間関係が複雑になってきた感じがあります。これはいい具合に宮廷ものっぽくなってきた感がヒシヒシと伝わってきて、ワクワクが止まりません。最後に頼ったゲルトルードは、どのあたりに位置するのかわかりませんが、今後この人が表に出てきたりするのかしら。彼女の笑みには寒気がするばかり。
次あたり、もうちょっと、それぞれの関係が見えてくれると嬉しいですね。
エルゼリオ―遠征王と薔薇の騎士
高殿 円
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