「キョウカの言うとおりだわ。せんせにとって、マイカは、魔法使いにとっての神サマなのね。せんせは、いつかマイカに向き合いたくて戦っているのよ」
今までどこかふらつく印象のあった仁だけど、それがはっきりとみえた一冊でした。これまでも流されているところでその弱さを感じていましたが、師と仰いだ人と戦わねばならぬところでの揺れっぷりは、もう……。ぎりぎりどころか死線をさまよって、いったいどうなるかと思いましたが、そこで前を向くことができたのはメイゼルと鬼火の存在があったからでしょう。戦いながらも、「師」から「弟子」に受け継がれていく思いが素晴らしかったです。死を前にしながら、己を貫き通す鬼火の姿に、感動するばかりでした。
もうひとり、仁を支える存在であるメイゼルもまたよかった。仁の内面ばかりが見えていたので、いつものサディストな姿を見せながらも、どこか存在感薄かったんだけど、今回の戦いで一番苦労したのはメイゼルじゃないかと思うものがありました。犬を殺されたときに怒りに我を忘れることもあったけれど、その辛さを乗り越えて、誇り高さは忘れない彼女の姿は、仁からしたら神々しく写ったんじゃないかなあ。
それにしても、≪協会≫が絡んだところには、複雑なものがあるようで、目が離せないですね。舞花の死の一端は見えたと思うけど、まだまだ奥が深そう。何より、メイゼル自身も絡んでるっぽいので、逆にこのあたりから仁が崩れていかないか不安になります。個人的には、京香と支えあうような形でいけばいいのにと思うんだけど、仕事は有能なのにそういった方面は不器用だからなあ。鬼火の叛乱でぎりぎり繋がった≪公館≫との関係も、気になるところです。
そういえば、今回きずなの話はほとんどありませんでしたが、今後どうするんでしょうね。今までと同じように仁と接することはできないと思いますが、さて、積極的に出てくるのか、それとも……?
円環少女 (9)公館陥落 (角川スニーカー文庫)
長谷 敏司
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