Home > ライトノベル > [長谷敏司] 円環少女(サークリットガール)7 夢のように夜明けのように

[長谷敏司] 円環少女(サークリットガール)7 夢のように夜明けのように

「どうして、あんたたちは小学校のテッペンをめざさないの?」
テッペンといっても、権力とか一切なく、いわば民主主義の基本を学ぶはずの生徒会選挙なのに、みんなに苦しみを上げたいという理由で、メイゼルは生徒会長へ立候補した。ただ、彼女の言動を考えれば、当選するのは、もうひとりの立候補者であろうと誰もが思う中、ちいさな魔女は、嗜虐的な態度を見せ初めて……

ああ、楽しい。もう読んでて笑いが止まりません。

雑誌に掲載した短編をまとめた一冊なんですが、一編目の「しあわせの刻印」は、刻印魔導師のありふれた絶望を描く本編同様のシリアスなお話だったんですが、他の三編は学園もの(?)だったり、びっくりどっきり魔法人間が登場したりと、振り回されるメイゼルや仁の姿がたまらなく面白い。っていうか何気に一番大変だったのは、寒川さんだよなあと、彼女の境遇に思いっきり同情してしまうものがある。

「しりとり」を扱う天盟体系の巫女マチルダが「愛」を求めて引き起こす騒動の「つながれる愛のしるし」は、普段とは違ったメイゼルと仁を見ることが出来ましたね。戦いだと強いのに、天然というか、人の話を聞かないマチルダを相手に説得という作業がうまくいかず、イラだつ様子には、ニヤケっぱなしでした。
また、「愛」なんてテーマのおかげで、気づけば、きずな・メイゼル・仁の間で、三角関係っぽいドロドロしたものが生まれて……三銃士ネタとイラストに爆笑。

生徒会長選挙にメイゼルが立候補する「薔薇はうつくしく散る」もまた楽しかった。
どこでこんなアヤマッタ知識を仕入れてくるのかわかりませんが、対立する立候補者を敵とみなして、普通とは違う選挙戦を繰り広げるメイゼルの奇抜な作戦が、とても子供らしくて好きです。ただ、メイゼルの嗜虐の美しさを味わった下級生の子供たちが、変なトラウマを持たないといいんですが。

ここで登場したびっくりどっきり魔法人間の変態っぷりはどうでもいいとして、最後の演説で、寒川さんの頑張りには、読んだ人なら誰でもその境遇にないてしまうと思います。
っていうか、僕も投票するなら寒川さんだな。うん。

で、短編の最後は、仁が寒川家へ家庭訪問にいったら、自称母の全裸女が出てくる「ハダカのこころで」。
おかしいな。寒川さんの優しい心は、どうして裏目裏目に出ちゃうんだろう。容赦なく引っ掻き回すびっくり魔法人間のおかげで、しどろもどろになりまくって仁をしばっちゃうところとか、ほんと笑いました。最後の最後まで、大変な目にあってましたけど、これからも頑張って生きていって欲しいです。
いやあ、面白かった。まさか円環少女でこんな笑いの止まらないお話を読めるとは思いませんでしたよ。

短編集としても面白かったですが、シリーズの続編としても繋がりがありました。オープニングや、インターミッション、そしてエンディングで、前作で公館から離れた仁が、これからについて迷う姿などが描かれているので、次なる巻でどういう展開を迎えるのか、不安と共に非常に楽しみですね。

円環少女 7 - 長谷 敏司

円環少女 7
長谷 敏司

角川書店(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[長谷敏司][角川スニーカー文庫][ライトノベル]

Home > ライトノベル > [長谷敏司] 円環少女(サークリットガール)7 夢のように夜明けのように

Trackback:3

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2281
Listed below are links to weblogs that reference
[長谷敏司] 円環少女(サークリットガール)7 夢のように夜明けのように from booklines.net
[現代異能バトル][ラノベ]円環少女 7 夢のように、夜明けのように from 愛があるから辛口批評! 2008-03-04 (火) 21:52
円環少女 7 (7) (角川スニーカー文庫 153-9) 作者: 長谷敏司 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2008/03/01 メディア: 文...
[感想][★★★★☆][長谷敏司]「円環少女(7)夢のように、夜明けのように」 from ただ、それじゃ終われないでしょ! 2008-03-07 (金) 00:19
「あのっ……えっ……えーと、鴉木さんも一緒にしばる?」 「なんで、あたしが、あんたといっしょに、せんせを縛るの?」 「なんでかな……友だちだから?」 「...
【感想】 「円環少女7」 from 読書徒然 2008-03-08 (土) 23:55
 今回の短編集は一味違った、色んな意味で。  いつもの階段を知らない間に下りているような仁の姿を見せるのではなく、 専任係官と人との間で揺れる仁の日常...

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [長谷敏司] 円環少女(サークリットガール)7 夢のように夜明けのように

Search
お気に入り

左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!下巻が今から楽しみです。超オススメ!→上巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下


わくわくするような大冒険がしてみたいな

時載りリンネ! 1 (1) (角川スニーカー文庫 203-1)時載りリンネ! 2 (2) (角川スニーカー文庫 203-2)

本を読むことで、滋養と時を操る力を得る「時載り」一族。読書よりも遊ぶことのほうが大好きという、おしゃまな女の子・時載りのリンネと、彼女に振り回される男の子・久高が繰り広げる冒険物語。どの年代の人が読んでも楽しめる最高のジュブナイルです。→感想


十八番目の皇女という立場から、何も手にすることができなかった月華が、心の内に「龍」を飼う涼狐の剣舞に惚れて、剣を手にする中華風ファンタジーのボーイ・ミーツ・ガール。

DRAGONBUSTER 1 (1) (電撃文庫 あ 8-13 龍盤七朝)

淡々と語られている物語だと思っていたのに、気づけば引き込まれています。溜め込んだエネルギーが、次なる巻で爆発してくれることでしょう。背筋がゾクゾクするほど、楽しみでなりません。→感想

なかのひと

Page Top