「どうして、あんたたちは小学校のテッペンをめざさないの?」
テッペンといっても、権力とか一切なく、いわば民主主義の基本を学ぶはずの生徒会選挙なのに、みんなに苦しみを上げたいという理由で、メイゼルは生徒会長へ立候補した。ただ、彼女の言動を考えれば、当選するのは、もうひとりの立候補者であろうと誰もが思う中、ちいさな魔女は、嗜虐的な態度を見せ初めて……
ああ、楽しい。もう読んでて笑いが止まりません。
雑誌に掲載した短編をまとめた一冊なんですが、一編目の「しあわせの刻印」は、刻印魔導師のありふれた絶望を描く本編同様のシリアスなお話だったんですが、他の三編は学園もの(?)だったり、びっくりどっきり魔法人間が登場したりと、振り回されるメイゼルや仁の姿がたまらなく面白い。っていうか何気に一番大変だったのは、寒川さんだよなあと、彼女の境遇に思いっきり同情してしまうものがある。
「しりとり」を扱う天盟体系の巫女マチルダが「愛」を求めて引き起こす騒動の「つながれる愛のしるし」は、普段とは違ったメイゼルと仁を見ることが出来ましたね。戦いだと強いのに、天然というか、人の話を聞かないマチルダを相手に説得という作業がうまくいかず、イラだつ様子には、ニヤケっぱなしでした。
また、「愛」なんてテーマのおかげで、気づけば、きずな・メイゼル・仁の間で、三角関係っぽいドロドロしたものが生まれて……三銃士ネタとイラストに爆笑。
生徒会長選挙にメイゼルが立候補する「薔薇はうつくしく散る」もまた楽しかった。
どこでこんなアヤマッタ知識を仕入れてくるのかわかりませんが、対立する立候補者を敵とみなして、普通とは違う選挙戦を繰り広げるメイゼルの奇抜な作戦が、とても子供らしくて好きです。ただ、メイゼルの嗜虐の美しさを味わった下級生の子供たちが、変なトラウマを持たないといいんですが。
ここで登場したびっくりどっきり魔法人間の変態っぷりはどうでもいいとして、最後の演説で、寒川さんの頑張りには、読んだ人なら誰でもその境遇にないてしまうと思います。
っていうか、僕も投票するなら寒川さんだな。うん。
で、短編の最後は、仁が寒川家へ家庭訪問にいったら、自称母の全裸女が出てくる「ハダカのこころで」。
おかしいな。寒川さんの優しい心は、どうして裏目裏目に出ちゃうんだろう。容赦なく引っ掻き回すびっくり魔法人間のおかげで、しどろもどろになりまくって仁をしばっちゃうところとか、ほんと笑いました。最後の最後まで、大変な目にあってましたけど、これからも頑張って生きていって欲しいです。
いやあ、面白かった。まさか円環少女でこんな笑いの止まらないお話を読めるとは思いませんでしたよ。
短編集としても面白かったですが、シリーズの続編としても繋がりがありました。オープニングや、インターミッション、そしてエンディングで、前作で公館から離れた仁が、これからについて迷う姿などが描かれているので、次なる巻でどういう展開を迎えるのか、不安と共に非常に楽しみですね。
円環少女 7
長谷 敏司
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