神聖騎士団から核爆弾を奪取したワイズマンは、その核を古い地下鉄車両に乗せて、東京の地下を走らせていた。もしもそれが爆発すれば、百万単位の犠牲が出ることは想像に難くない。「公館」はすべての人材を投入して事態にあたり、さらに、武原仁は、敵方に捕らえられたきずなと瑞希を奪還するために、東京を駆け巡るが……
ワイズマンとテロリスト、さらに彼らに協力する魔法使いを相手取り、「公館」が東京の地下を縦横する核を奪還するというお話です。
核テロのみならず、「魔法使いの弾丸」まで持ち出して、悪鬼にまで手を伸ばそうかというワイズマンの思惑に対して、「公館」が後手に回ったり、裏をかかれたりしたと思いきや、待ち構えていた≪茨姫≫の圧倒的な力に言葉もありませんでしたね。すごい。読んでると体が痛くなるほどムゴいですが、すごい。
さらには、ハウゼンすらあっさり退ける≪鬼火≫の力や、数多くの多くの敵を仁が倒してと、さすが「公館」という感じだったのに、嫌な感じがずっと付きまとう雰囲気があるので、ずっとドキドキでした。
それは、囚われのきずなの不安であったり、今までどちらかといえば安全圏にいた京香が狙われたりということもあるんでしょうけれど、何といっても、仁そのものが揺れてたからでしょうね。
自分たちと相手がやっていることの違いは何なのか。
今までも持っていた疑問が、京香とのやり取りで、次第に膨らんでいくところは、どちらの言い分もわかるだけに心苦しいものがありました。
そんな迷いを消してくれたのは、やはりメイゼルでしたね。戦闘に参加しなかったため、出番が少なかったんですが、その存在感と言動には、悩んでることをすっきりさせるような清涼感がありました。やはり、仁にとってはメイゼルの存在が大きいんだなあ。
迷いを失くしたという意味では、エレオノールもそうかな。彼女にとっての神をもう一度、見つめなおすところを見たときには、どこにも属さない存在のこともあって、ひょっとしたらこの人が鍵になってくれるのかもしれないと思いました。
意外なところで繋がりのある人たちの過去に驚き、枝分かれしていた人たちが出会いには、さらなる動きを予感させましたが、いろいろな思いがすべて吹き飛ばされたのは、メイゼルが受けた衝撃のシーンのせいです。ほんの少し前までの会話の温かさが、一瞬にして冷え切りました。メイゼルのイラストを見て、言葉を失うなんて思いもしなかったです。
きずなが見た「文字」のことまで思い出して、どうなるのか不安でいっぱいでした。
迷っていた仁が、最悪の形で試されることになった「問い」によって、覚悟を決めましたが、いったいどうなるんでしょうか。あまりにも予想がつかない展開に、心の興奮が治まりません。
続きがどうなるのか、気になって気になってしかたないですが、大いに期待して待ちたいと思います。
「この世界は地獄じゃない―」
仁の言葉が伝わってくれたら……
円環少女 5 (5)
長谷 敏司
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