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[林トモアキ] ミスマルカ興国物語 2

「帝国軍陣地に、大規模な物資輸送の動き。またそれに伴い、敵陣に新たな将が加わったとの報告です」
「名のある将か?」
「ユリカ・美ヶ島・マジスティア……帝国第二皇女です。敵方は総大将を入れ替え、陣容を刷新するものと思われます。この十日以内に総攻撃に踏み切る可能性があります」

暴力を極端に嫌う、ぐーたらおちゃらけ王子のマヒロが、戦わずして敵を退けるかということに尽力を尽くす戦記ものシリーズの第二弾。今回は帝国との開戦に向けて、伝説の神器「聖魔杯」を探索するという任務を負う勇者の選別を任されたマヒロ王子が、行方をくらまして……というお話。

いやあ、楽しかった!
次にどんな行動をとるのか、さっぱり予測がつかないマヒロの突拍子のなさが、とても面白いこのシリーズですが、勇者の選別に追いかけっこを持ちかけるとは思わなかった。しかも、誰もが予想しないところに隠れるんだから、すごすぎる!
王子の近衛騎士たるパリエルですら、いくらマヒロでも……と思ってしまうんだから、たいしたもんです。っていうか、ただのバカにも見えるけど……。

あのゼブラーマンなフリーダムさは、王子という人間がやっちゃいけない一線を軽く越えてたと思います。よくぞ我慢したと、敵側の人を褒め称えたくなった。

で、その敵側たる帝国は、先日の第三皇女ルナスの姉、第二皇女のユリカがやってきたんですが、これはなかなかいい味出してた。剣ではなく知で戦うタイプのため、さすがのマヒロも、あと一歩のところからなかなか進めないようなところがありましたが、ちょっとした運と、そのとき使えるカードを、存分に利用しきる采配で、大ピンチを乗り切っていく姿が、ほんと痛快。

ただ、王子が、別行動でいろいろ動いていたので、近衛騎士たるパリエルとの掛け合いが少なくなっちゃったのが、物足りないかなあ。ひとり突っ走る笑いもいいけれど、ボケとツッコミの王道も好きなので。まあ、強烈な印象を残してくれるエーデルワイスの存在感というか、マヒロに対する冷たさは、今回も健在で笑わせてもらいましたけど。

今回マヒロと共にいいところを持っていった勇者のひとりが、また曲者ですよねぇ。隻眼・隻腕で、魔王を倒すために聖魔杯を手にしたいと、やや狂気的に願う男には、どんな過去があったのかと暗くなりそうなところがあるんだけど、能天気なシスター、エミット(お・り・が・みでいうなら、クラリカみたいなもん)が共に行動してくれるおかげで、いい方向に転んでくれそうです。
はじめはその態度から、アイドル勇者シーナやパリエルから誤解を受けることもありましたが、内面が見えていくにつれて、わだかまりがなくなって、「仲間」な空気を見せてくれるところが、すっごい良かった。

さてさて、一難去ってまた一難という展開が続いていますが、ひとまず帝国の進行に対して、猶予が与えられたと思っていいかな。次は聖魔杯のキーとなる紋章集めの旅が始まるようですが、帝国第一皇女の動きもいろいろ気になるところですねぇ。まあ、それ以上に、お・り・が・みとの繋がりも気になるところです。
そろそろ、何か見えてきてくれないかなあとワクワクしながら、続編を待ちたいと思います。

ミスマルカ興国物語 II- 林 トモアキ

ミスマルカ興国物語 II
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