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[三田誠] レンタルマギカ ありし日の魔法使い

「これだけいろいろ見せられれば、それなりの予想はつくさ。禁忌を目指す魔法使いが、どういう考え方をするか。ああ、俺もそれなりには知っている」
ゆっくりとうなずき。そのまま、こう告げた。
「お前たちの目指す禁忌は ― 魔法使いが魔法になる方法、だ」

魔女、陰陽師、錬金術師などなど、複数の魔術系統を集めた魔法使い派遣会社「アストラル」の物語。今回は「魔法を使わない魔法使い」こと、伊庭司が社長だった十二年前のお話です。

久しぶりに、というと語弊がありそうだけど、面白かったです。いや、いつも面白いんだけど、普通に面白いってぐらいで安定してたんだけど、今回はいつも以上でした。

なんせ登場人物が豪華ですからね。庭司、猫屋敷、ユーダイクス、隻蓮、穂波の祖母ヘイゼル、そして「魔法使いを裁く魔法使い」が社員って、どんだけすごいんだよ。そんなアストラルに、ゲーティアの儀式を邪魔したものを探してほしいという依頼が、アディの父・オズワルドから寄せられるんですが、まさか対象となった相手が、現代に繋がってくるとは思わなかった。因縁とはこういうことかと思うばかり。

今回のお話で一番印象に残ったのは、猫屋敷の心の移り変わりですね。今はあんなに昼行灯なのに、このころは、常に心に不満を持っているような刺々しい感じだったんですね。まあ、いつき父・司の、のほほんとしたからかいに苛立ちを覚えてるってこともあるんだろうけれど、それ以上に、自分の中にある衝動を抑えきれない感じが伝わってきました。

敵対した組織の禁忌に触れ、心揺れたときにはどうなるのかとドキドキでしたけど(いや、現在を考えればわかっているんだけど、それでも、ね)、気づかぬうちに生まれたアストラルへの思いに、ああ、こうしてアストラルに染まっていったんだなと、素敵な気持ちになりました。

そして、社長。
まさか、魔法が使えないただの人間が、これほどのものを見せてくれるとは思わなかった。普段はゆるゆるなだけに、ギャップにやられまくり。なんて格好いいことしてくれるんだ!
なるほど、こんな人だからこそ、まるで異なる形態の集団をまとめることができるんだろうなあと思いました。

いやあ、面白かった。
アストラルの過去に、これほどの事件が起きていたとは思いもしませんでしたよ。なるほど、この亀裂が、今に影響を及ぼしてるんだなあというところが見えて、とても興味深いものがありました。
十二年前はアストラルにいて、今は協会にいる例の人の話は、まだ語られてないところもあるかと思いますが、今のアストラルを見て、どう思うのかは、聞いてみたいところです。

レンタルマギカ  ありし日の魔法使い (角川文庫―角川スニーカー文庫) - 三田 誠

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