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[森見登美彦] 四畳半神話大系

大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。大学に入る直前には、ひょっとするとあるかもしれない異性との薔薇色の交際にむけて軽い武者震いをしたこともあったのに、いつの間にか知らない人も知っているほどに悪名高い、恋ノ邪魔者になっていた。こうなってしまったのもすべて、私の宿敵であり盟友である唾棄すべき、一人の男、小津のせいである……

弱者に鞭打ち、強者にへつらい、わがまま傲慢怠惰天邪鬼な男・小津とであったことで、異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的優位の人材となるための布石をことごとくはずして、青春をやり直したいと思いながら、やり直してもまた灰色のキャンパスライフをすごす羽目になる男の物語です。

これは楽しかった!モテない男の僻みというか、そういった暗い思いを、どうしてこんなに面白おかしく書けるんだろう。嫌いだ嫌いだといいながら、小津と一緒に繰り広げる騒ぎのなんとくだらなく面白いことか。読んでてしみじみ言いたくなるものがありますよね。「バッカだなあ」って。

仙人のような自由人の樋口、色っぽくも酔うとやばい歯科医の羽貫さん、そしてクールな乙女・明石さんたちも絡んで、ひょっとしたら恋愛要素も?と思わせながら、妙なところでプライドが高いというか、誇りを失わないというか、チャンスがあっても暴れるジョニーを押さえ込んじゃうあたり、なんともほほえましいものがあったりしますね。好きな人ができても、やせ我慢するところとか、かわいすぎる。

面白かったのは「四畳半恋ノ邪魔者」「四畳半自虐的代理代理戦争」「四畳半の甘い生活」「八十日間四畳半一周」という四つのお話が、平行世界のお話となっていることです。「私」が大学に入ったところまでは同じだけど、それから先の未来は、各話で違う道を選んでいるのに、なぜか同じような道筋をたどっていくところが、とてもシュールでとても楽しい。

どれもこれもバカバカしいことこの上ないことばっかりやってるんだけど、まあそれはともかくとして、どの道を選んでも、必ず小津が絡んでくるあたりに運命を感じちゃいます。

「僕なりの愛ですわい」
「そんな汚いもん、いらんわい」

毎回同じような終わり方をしているにもかかわらず、一番初めの物語と一番最後の物語で聞いた台詞が、逆転して聞こえるところに、ほろりときました。

いやあ、面白かった!できれば、成就したという恋のお話についても読みたかったですが、語り手さんがどうやら照れてるみたいなのでしかたないか。
「むにゅっとしてました」がとても可愛かった明石さんとお幸せに!

四畳半神話大系 (角川文庫 も 19-1) - 森見 登美彦

四畳半神話大系 (角川文庫 も 19-1)
森見 登美彦

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ちなみにこのお話読んでると、ものすごくラーメンと魚肉ハンバーグが食べたくなって、「海底二万海里」が読みたくなりますね。

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