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[松岡圭祐] 千里眼の水晶体

不潔恐怖症の女性が、飛行機から洗面所から離れないという連絡を受けて、美由紀は空港へと向かった。似たような症状の友人がいる美由紀は、比較的容易に里佳子を飛行機から下ろすことができたが、彼女に対して警察が動き始めた。なんと、山形で発生した山火事を指示したのが彼女だと言うのだ。里佳子の潔白を証明するために、美由紀は真実を求めて動き始めたが……

不潔恐怖症の里佳子に掛けられた疑いを晴らしていくうちに、旧日本軍の生物化学兵器であるウィルスがばら撒かれて、免疫による抵抗力の弱い不潔恐怖症の人々が次々に感染して、里佳子はもとより美由紀の友人まで倒れて、というお話です。

まさか放火事件からウィルスものになるとは思わなかった。まるで関係ない話を繋げていくところはさすがですね。些細なことやマメ知識みたいなものが、事件解決への鍵になっていくんだから、侮れないです。
体力的なスーパーウーマンっぷりはいつものことですが、知識や記憶力に関しても他を寄せ付けないところは、飽きれてしまうほどですが、憧れてもしまいますね。

依頼人や友人を救うために、東北に言ったと思ったら、京都へ向かったり、はてはハワイへまで飛び出すんだから、行動力と思い切りの良さは、目を見張るものがあります。
普段から人助けのために動いてますが、友人の命がかかっているだけあって、いつも以上に焦りと緊迫感を受けますね。ジェットコースター展開に一気読みでした。

千里眼と言われていても、見抜けないことが多々あることは自分でも理解していたのに、それが原因で、大きく遅れたのは、ほんと痛いでしょうね。人に対する愛情が見抜けないという弱点が、今後もいろいろ問題になっていきそうですが、そういう意味では、愛を見つけるというのが、新シリーズの大きなテーマなのかもしれませんね。

タイムリミットが迫ってきても、絶対に諦めなかった美由紀が、膝を突いて悔やむところには、胸が苦しくなりましたが、ほんのちょっとしたことに可能性を見つけ、全力で駆け抜けようとする姿には、胸が熱くなる思いでいっぱい。やっぱ美由紀はこうじゃなきゃ。

すべての人を救おうとしながら、救えなかったところは心残りでしょうけれど、ひとまず事件が解決して良かった……と思ったら、まさか、こんなところで、妙な連中が動いてくるとは思わなかった。
こうやって美由紀のライバルと言うか、敵対するものが生まれていくんですね。今後敵役として、活躍しそうな感じがあるだけに、目が離せなくなりそうです。

千里眼の水晶体 - 松岡 圭祐

千里眼の水晶体
松岡 圭祐

角川書店(文庫)
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