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おんな牢秘抄 / 山田風太郎

「この六人の女は?」
「ただいま、小伝馬町のおんな牢に入牢中じゃ」お奉行さまは厳然と
「やがて、ことごとく打首にいたす。その裁きに、おまえは不服があるか?」
「もし、このお裁きがまちがっていたら?」
さすが温厚な父も、さっと顔色をかえてにらみつけた。しかし、霞はあどけなくにっこりして、
「父上さま、あたしの私用をきいて下さいますか?げんまん」

葉月さんななきさんに薦められて手に取りました。

「女を女が裁くなら、もっとちがったお裁きができるのでは……」と、 大岡越前守の娘・霞が、死罪を申しつけられた女因たちの冤罪を晴らしていく物語です。

これはとても面白かった!
そもそもは、身分違いの恋を成就させるために、父とやりあって、六人の女たちの裁きを引き受けるんですが、これがとてもドキドキとワクワクさせてくれるお話しになるんです。なんせ、事件を調査をするのに、まずは相手の話を聞かねばならないと、罪人のフリして女牢に入り込むんですから。

牢の中には、牢のしきたりがあり、当然新入りたるお竜こと霞も目をつけられるんですが、弱い者いじめするような輩は、ピシャリと跳ね除けてキリキリさせ、弱き人を優しさで包む。そりゃ、こんなステキな人がいたら、心を開かないわかがない!

牢の中の話だけでも痛快なのに、さらには、ひとりひとりから牢に入ったきっかけとなった事件の話を聞いて、無純や疑問を見つけては、外に出て調査を行って、真犯人を捕らえてくるんだから、すばらしい。
たぶん傍にいる人たちは、お嬢さんが何をしでかすのかと、ハラハラしっぱなしだったんじゃないかと思いつつ、いいぞ、もっとやれと思いました。

しかも、それぞれの事件がまた面白いんだ。
毒蜘蛛で浮気相手と旦那を殺してしまった女、夫と中間がいつの間にか入れ替わるホラーじみた体験、呪いが実現してしまう、あるいは、名代の禁断の恋から無理心中などなど、一見不思議だけど、ああこういうトリックを使ったんだなと思い当たって読んでみたら、さらに捻られて驚きが待っているから、やられた感があるんです。

キャラが良くてミステリでやられたら、面白くないわけがない。

すべて冤罪によって囚われた女の話であり、悪いことだと思いながらも、女たちが見せる情の厚さは、心を動かされるものがあります。脱獄を決意したときのお名主さんの思いとか、切なくて……だからこそ、許すわけには行かないと動く、霞を応援したくなるんだよなあ。

終盤に入って、意外な展開が待ち受けてたりしますが、ばったばったと悪党どもをこらしめていく様と、最後に見せてくれたとても愛くるしい姿が、本当によかったです。恋する女の強さに脱帽しました。げんまんの可愛さに大満足でした。おすすめ。

おんな牢秘抄 (角川文庫 (5664)) - 山田 風太郎

おんな牢秘抄 (角川文庫 (5664))
山田 風太郎

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